SUMA GAKUEN
学校法人
須磨学園
  • HOME
  • 2017年度 高校卒業式 V2学年部長 挨拶

2017年度 高校卒業式 V2学年部長 挨拶

  V2学年団を代表し一言ご挨拶申し上げます。

  本日の卒業式、心よりお祝い申し上げます。中学高校の6年間は、長い人生の中で1割にも満たない短い期間です。しかし、人格形成や人生設計の面で、これほど重要な時期もないかもしれません。このような特別な期間に、お子様を私どもに託していただいたことに深くお礼申し上げます。

  中学に入学された6年前、学年部長を務めるに当たり、どのような学年を目指し、どのような学校生活を提供するのかを考えたとき、2つのテーマを持ってスタートしました。
  1つ目は、楽しい学校生活です。学校であれば、辛いことも、しんどいこともあります。しかし根底に楽しさがあれば乗り越えることが出来ます。友達、先生、なにより学校が大好きになって欲しいと思いました。そのためには、教員と生徒、生徒と生徒の関係を大事にし、一人ひとりが他者から認められる場所、楽しいと思える場所をつくり、のびのびと過ごせる、そのような学年を目指しました。そして、クラス・学年の一員であることを誇れる生徒になってほしいと思いました。
  2つ目は、愛情です。教員と生徒の間に愛情がなければ何も生まれません。
  私たち教員は、子どもたちに愛情を持って接することに努めました。しかしながら、子どもたちはこの間に思春期、反抗期をむかえました。
  子供達の言動に、立腹し、苛立ち、落胆させられること、数え切れないほどありました。時には、愛情を忘れ、感情をあらわに叱責することもあり、理不尽な要求をすることもありました。そのような時、私自身の戒めになったのは、毎日子供達が持参する母親の手作り弁当です。
  子どもの反抗は、教員よりもむしろ親に対してこそ、あからさまだったと思います。反抗期の子どもであれば、親子の間に様々な問題や葛藤が生まれ、親は不安と心配の連続だったでしょう。その苦労は計り知れないものがあったと思います。
  それでも、朝早く起きて、お弁当を作り、子どもに持たせる。時には起きるのが辛い朝もあったでしょう、体がしんどいときもあったでしょう。それでも毎日、愛情のこもった弁当を作る、その親心に感動し、励まされ今日までくることができました。その愛情は、子どもたちの心の奥底に、しっかり根付いています。どのような言葉をもってしても、語ることができない親への感謝を子どもたちは胸に秘め、これからの人生を歩んでいくことでしょう。

 

  初めて出会った頃のかわいらしい、あの頃の子どもたちを思い返し、今の姿を見ると何と立派に成長したことでしょう。
  中学高校の6年間、子どもたちの成長は早く、体つきも顔つきも、話す言葉づかいまでも年々変化します。彼らが成長し、一歩ずつ自立する足取りを、うれしく思う反面、心の一隅にさびしさを感じるのは私だけでしょうか。
  6年間にわたり、子どもたちが成長し、日々変化する姿を、一期一会の気持ちで見守ってきました。6年間の私自身の生活を振り返ると、朝は何か変わったことはないかと子どもたちの顔を見まわし、授業中には勉強をおろそかにする生徒を注意する。放課後には部活や9時学に取り組む生徒を励まし、帰宅後は子どもたちの心配をする。そのような毎日を送っていました。
  そして、今振り返って、気づいたことがあります。それは、子供たちと一緒にいる時が一番楽しかった。子供たちといるときが一番元気だった。子供たちといるときが一番幸せでした。

  保護者の皆様、皆様の子どもはすばらしかったです。 私には過ぎたる生徒でした。彼らに出会えたこと、共に過ごせたことに、心より感謝いたします。ありがとうございました。

  さて、卒業生の皆さん。卒業おめでとう。
  君たちと最初に出会った頃。君たちは小っちゃくて、頼りなくて、いつも不安そうに、目をきょろきょろさせ、それでいて毎日一生懸命生きている。そんな姿が今でも思い出せます。その出会いから今日まで、色々な事を一緒にやってきました。覚えてますか。
  J1のサマーキャンプでは、焼き肉の煙に涙しながら食べたことを。ウィンターキャンプでは尻餅ばかりつき、雪だらけになってました。
  パスポートの心配ばかりしながら5カ国をまわったアジア旅行、暑かった北木島では海でたくさん遊びましたね。アメリカでは、ネオンサインがまぶしかった夜のニューヨークを歩きました。
  高野山での世界遺産めぐりや肝試し、テロが心配される中、ヨーロッパでは美術館をまわったり学校交流をしました。そのほか、体育祭や文化祭など、たくさんの学校行事や部活動を経験しました。

  そのなかで、たくさん笑ったけど、時には泣くこともありました。悔しいことも悲しいこともあった。色々な事があったけど、そのどれもが、ここにいる仲間と共有することができ、仲間と支えあいながら今日まで歩んでこれたのです。

  9期生の我々だけが経験した事、ここにいる119名だけが知っていること、我々だけがわかり合えることがたくさんあります。世界には47億の人がいますが、ここにいる仲間が特別な存在であり、かけがえのない人であると思います。

  昨日、思い出ビデオを見ました。この学年の印象は、と問われた先生方から、異口同音に出てきた言葉は「元気」、「底抜けに明るい」、「生徒の仲がよい」というものでした。私もまったく同じ印象です。君たちはいつも明るく、楽しそうでした。休み時間の教室は笑い声であふれていました。そして、仲が良かった。最後の文化祭、クラス全員が協力しチームワーク良く働いている姿を見て、本当にうれしかった。
  そんな君たちのことが大好きでした。君たちはいつも私の自慢であり、宝物でした。

  高校3年生になれば大学受験です。まだ終わっていない人もいますが、みんな、よくがんばった。
  早朝に登校し自習室にこもり、9時学までのこる。毎日毎日文句も言わずに、ひたむきに取り組んできた姿を、私は知っている。
  結果がなかなか出ない焦りもあった、試験前には不安が込み上げたこともあった。入試では良い結果もあれば悪い結果もあります。しかし、結果がどうあれ、私は君たちの努力と忍耐に対し、心より「よくやった。立派だった」と賞賛します。

  さて、長かった6年間の生活も、今日をもって終わりです。君たちとお別れです。6年間、君たちと一緒に過ごせ、本当しあわせでした。君たちのことはいつまでも忘れません。これまで君たちが与えてくれた楽しみはもうありません。しかし、これからは君たちの大学生活、就職、結婚、社会での活躍を想像し、それを楽しみにします。
  これからは、過ごす場所は違いますが、いつも君たちを応援しています。いつも君たちの味方です。
  6年間、本当にありがとう。

2018年3月3日 V2学年部長 下地 英樹