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2020年度芸術鑑賞会 学園長挨拶

 須磨須磨のみなさん、須磨夙のみなさん、こんにちは。98周年の記念コンサートにあたり、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。

 今日のコンサートのプログラムを見てもらうと、古典派からロマン派というように書いてあります。音楽の授業では、古典派とロマン派というように勉強するわけですけれど、古典派とロマン派の切れ目はどこなのか。私はベートーヴェンだと思います。バッハ、ヘルマン、ヴィヴァルディ、モーツァルトなど古典派というかバロックというかそういう音楽をどんどん大きくしていってオーケストラを完成させたと言ってもいいと思いますが、それが、今日のプログラムのハイドンだと思います。
 ハイドンまではそれまでの作曲家には申し訳ないですが、同じようなかたちでした。ルネッサンスから延々と続いてきた音楽の伝統をつぶしたのがベートーヴェンだと思うのです。ベートーヴェンはあまりにオリジナルな、それからピアノを時代的に進化させていってベートーヴェンの音楽を作ったわけです。ベートーヴェンの音楽の後にどういうことが起こったか。それは今日の第2部にありますように、シューベルト、メンデルスゾーン、ワーグナー、ブラームスといった人たちは、どういうことをしたのか。ベートーヴェンのあとを継いで、大作曲家と呼ばれてきた人たちは、みな一小節聞くだけでこれは誰の曲かとわかるくらいのそれぞれの作曲家の強いシグネチャーというかオリジナリティを完成させていったのです。完成させなければ大作曲家にはなれなかった。昔はモーツァルトのような音楽、ヘルマンのような音楽、といった「のような」曲で済んだわけです。私が何を言いたいかと言うと、どうしてそんなことになったのか。それは時代がそういう大作曲家を求めていたわけです。大作曲家のユニークさというものを今日はしっかり味わってほしいなと思います。

 それが須磨学園の98周年の歴史においてどうなのか。我々は98周年ですが、もっと歴史の長い学校がたくさんあります。夙川もそうです。阪神間にも100年を超える学校がたくさんあります。その学校は今から100年前に教育、女子校である場合には女子教育が必要でみなスタートしました。色々な学校が色々なことを努力してきました。その中でベートーヴェンは誰だったのか。メンデルスゾーンは誰だったのか。それが今阪神間、日本に残っているユニークなことを作る学校であったと思います。我々としては、先ほど理事長が言いましたけれど、ユニークさに対する挑戦であったような気がします。それは我々が自分勝手にやると言ってやってきたことではなくて、大作曲家を受け入れて大作曲家をサポートした人々、我々は学校としてやってきたことを受け入れてご子息を入学させてくださった保護者のみなさんといった世の中の人々、言い方を変えれば、追い風が吹いている、それがあったからだと思います。だから、最後に諸君らは、小学校にいて小学4年生から受験勉強をして須磨学園に中学校から入った諸君も、須磨学園に高校から入った諸君も、卒業した後はほとんどの人が大学に進学します。大学で4年間、大学院で2年間、さらに3年間勉強して世の中に出ます。その時にぜひ考えてほしいのは、1人ひとりが自分の専門性を伸ばしてユニークな人になってほしいということです。ユニークというのは、世界中で自分しかいない、唯一無二の自分になってほしいということです。どういう自分であるべきか。世の中がサポートしてくれるような自分、後ろから風が吹いて風に乗ってどんどん自分を伸ばしていけるような自分になってほしいなと思います。ベートーヴェン生誕250年の年に際し、今までの音楽をぶっ壊してオリジナリティを打ち立てたベートーヴェンにちなんで、諸君らもそういう生き方をしてほしいと切に願っています。

 今日はベートーヴェンとその後に続くユニークな作曲の作品と、当時の伝統、保守の最高峰の音楽であるハイドンの音楽を楽しんでほしいと思います。

2020年11月5日 学園長 西 和彦