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2023年度卒業証書授与式 理事長 式辞

 この冬は、春がもう来たと思わせられるような日があったり、例年以上の厳しい寒さの日があったりと、安定しない冬でした。本館3階の玄関のところにある太宰府からやってきた紅梅と白梅が節分の日に咲き誇っていることに気がついて、「ああ、この梅は皆さんが卒業する日まで咲いていないかもしれない」と心配していたのですけれども、今日確認するとまだ残っていました。よかったです。
 共学23期生372名、並びに一貫15期生123名の皆さん。この3年、あるいは6年、時間と場所を共有した人たちに別れを告げて、この良き日に新しい生活に入られる皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 今日は区切りの日です。この坂道から、そしてこの階段から、先生の指示から、課題から、校則から、解放される日でもあります。皆さんがひた向きにこれまで積み重ねてきた努力と情熱を讃えます。

 保護者の皆様、お礼とお慶びを申し上げます。須磨学園の教育を進める上で、保護者の皆様から賜りましたご支援とご協力とご理解、学校を代表して心より感謝申し上げます。そしてまた、立派に成長された子どもさんの姿を誇らしく思っておられることと拝察いたします。心よりお慶びを申し上げます。誠におめでとうございます。
 ご来賓の皆様、本日はご多用の中、生徒たちの記念すべき卒業式にご臨席を賜りまして、誠にありがとうございます。お礼申し上げます。

 さて卒業生の皆さん、色々なことがあった6年間、3年間だったと思います。特に最初の2年間はコロナ禍にあり、制限のある中での高校生活でした。でも、皆さんは見事に高校生活を駆け抜けてこられました。皆さんの努力と汗と涙の量に敬意を表します。瞬く間に過ぎていった3年間でしたが、振り返ってみると、皆さんは実に多くのことを経験して学んでこられました。
 コロナ禍での研修旅行、東京研修でのタクシー移動は圧巻でした。Webの授業、制限のある中での体育祭、文化祭。文化祭では皆さんが生き生きと活躍しておられ、皆さんの姿をとても眩しく感じておりました。体育祭では皆さんが放つエネルギーに圧倒されました。この学年はとても明るく元気な学年だったことを改めて思い返しています。

 これから10年、20年、何十年先において、皆さんはさまざまな困難や問題に遭遇されることと思います。今まで出会ったこともない、また経験したことのない、誰も想像したことのない困難や問題。それらの困難や問題に皆さんはこれから対応していかなくてはなりません。そして正解はまだ誰も知りません。今起こっている紛争や、自然災害に見舞われた傷ついた能登半島の皆さんたちなど。どのように解決していくのか。まだ誰も正解は知りません。
 でも私は悲観的な見方をしていません。皆さんがこの学校で考え、実践してきた意志の力、学習に向かう姿勢、行事に向かう意欲、課題へのアプローチの仕方。須磨学園での学びは、決して受験の準備だけではなかったと思っています。皆さんがここで蓄えてきた全ての力を総動員して、これから遭遇されるかもしれない様々な変化と困難に果敢に挑んでいらっしゃることを信じています。
 恐れることはありません。大切なことは知識の量ではなく、考える力です。知らないことは調べればわかります。大切なことは人との連携です。 ご存じのように、私たちは一人では何もできません。そしてまた大切なことは、それなりの素直さ。皆さん、これからたくさんの間違いをされることと思います。自らの非を認め、反省し、改善するということ。その素直さが大切だと私は思っています。
  そして最も大切なこととは、お互い許しあう、他を受け入れる寛容な心ではないかと思っています。そういった力を皆さんは今までの学校生活で培ってこられたことと確信しています。自信をもってください。

 昨年度、須磨学園は百周年を迎えました。百周年の企画の一つであるフォーラム「なりたい自分になりました」では、卒業した先輩たちが、皆さんをはじめとして後輩たちのために話をしにきてくれました。「ほら、今こんなに面白い事をしている。なりたい自分になるために、自分はこのような努力を積み重ねてきた」という話をしに、学校に帰ってきてくれました。K3の学年部長の多田先生もその一人です。それぞれの卒業生たちの話を聴いていて、須磨学園が今までやってきた取り組みがみんなの中に生きているということを感じさせてくれました。とても嬉しかったことを覚えています。先輩たちの話を聞いて、後輩たちが触発されて、そして自分の目標に向かって、努力を積み重ね、そして社会の中で、生き生きと活躍していってくれることが私たちの願いです。 
皆さんの一人ひとりが、須磨学園の同窓という不思議な連帯感のもとで、これから繋がっていくことを期待します。時間と場所と経験を共有した人たちに生まれる、不思議な連帯感のもとに。

 人生はよく旅に喩えられます。旅の意味はつねに目的地ではなく旅をすることそのもの自体の中にあると言われます。ということは、人生は生きることそのものの中に意味があるのかもしれません。「なりたい自分になる」ための努力を積み重ねるプロセスそれ自体に意味があるのかもしれません。
皆さんがこれからすばらしい旅をされることを願っております。
どうぞお身体に気をつけて。よい旅を。

2024年3月2日 理事長 西 泰子