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2023年度卒業証書授与式 高等学校校長 式辞

 中高一貫15期生の皆さん、共学23期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員一同、皆さんの晴れの日を心から誇りに思い、祝福いたします。保護者の皆様、ご子息・ご息女のご卒業、おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。またこれまで本校教育に対するご理解と、多大なるご支援・ご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 さて卒業生の皆さん、皆さんが過ごしてきたこの丘の上での6年、または3年の学校生活はいかがでしたか?様々な思いが頭や心を駆け巡っていることと思います。思えば3年前の入学式は、世界的なコロナウイルスの蔓延による感染症拡大の影響が残存していたこともあり、様々な制限の下に実施され、時が進んでもその影響が随所に残るような状況が続きました。新株の感染症拡大の影響もあり、社会的に不安な状況が、我々の想定をはるかに超えるぐらい長く続きました。これまで我々誰もが過去に経験したこともないような大変な期間が続いたことで、皆さんにとって大切な学校行事が一部中止や延期、または制限付きでの実施などの状況に追い込まれ、学校生活においても数多くの不都合や苦労が生じることになりました。
 そのような大変な情勢が続く中ではありましたが、皆さんは懸命に前を向いて困難に向き合ってきました。前向きな気持ちを持つ者にこそ前を向く機会が与えられる…という大切な「原点」を、しっかりと意識の中において行動してくれていたと思います。皆さんは様々な制限を受ける苦境の中でも、立派な姿をたくさん見せてくれました。文化祭では、制限のある中でも素晴らしい創意工夫のもと楽しい模擬店を作り上げ、体育祭では、最上級生として優れたリーダーシップを発揮して団の推進力となってくれました。国内の研修旅行は、皆さんの様々な工夫と柔軟な対応で無事実施することができました。部活動においても数多くの活躍を遂げ、最後まであきらめずに前進するという姿勢を後輩たちに存分に見せてくれました。さらに大学受験の対策における皆さんの受験生としての日々前向きな姿勢は、「学びを止めない」という方針で厳しいコロナ禍を乗り越えてきた須磨学園の象徴であり、我々の誇りでした。そして何より、この難局を無事乗り切ってきた皆さんの今の姿こそが、素晴らしい成果の結晶であると感じています。ぜひ自分自身を誇りに思ってください。
 一方でこれまでを振り返ると、様々な手ごたえの裏で、「もっとこうすればよかった…」、「こういうことができなかった…」など、ネガティブな側面が浮かびあがることもあると思います。しかし前向きな振り返りに加えて、このような(ネガティブな)側面、ともすれば様々な「失敗」についてもあえて大切に向き合ってほしいと思っています。
 これまで始業式・終業式など折に触れて伝えてきましたが、一見「対極」にあると思われることが、根底ではつながっていると確信しています。互いに因果の関係になり得るのです。今後の成功のカギはこれまでの成功体験だけではなく、失敗体験の中に数多く隠れています。勝負において「勝つ」ことを目指す中で、実際に勝った経験だけではなく、負けた経験こそが未来の勝利に向けて大いなる光になることがあります。真の喜びや楽しみを追求するには、悲しみや苦しみにいかに正面から向き合ってきたかが問われることが多くあります。このように「対極」を「大局」的に見ることは真に大切なことであると思うのです。物事を片側(結果)だけで判断するのではなく、「対極」の視点をもって「大局」的にその両側(プロセスを含めた因果)を振り返ってください。そしてそこで得たこと、考えたこと、感じたことを、自分だけでとどめるのではなく、家族に、友人に、社会に、そして世界に…、大切なすべての人たちに向けて、素直で前向きな「声」として届けることができるような人になってくれることを心から願っています。
 これからも様々な苦難が君たちを待ち受けているでしょう。そんな時でも、この6年または3年の学園生活において「毎日長い坂を上ってきたこと」「厳しい授業やたくさんの課題に耐え抜いたこと」「文化祭で時には友人とぶつかりながらも素晴らしい作品を作り上げたこと」「体育祭で学年やクラスの垣根を越えて声を枯らしたこと」「研修旅行で日本の古都や現在の首都についてたくさんの発見をしたこと」「世界の様々な場所でたくさんの本物に触れて感動を見出したこと」「平和学習で原爆・戦争の悲惨さに向き合い未来の平和に思いを馳せたこと」「夏の暑い中、冬の寒い中でも、朝早くから夜遅くまで、そして休日にも特別講座や部活動に参加して努力を続けてきたこと」、さらに「コロナ禍など様々な苦難に屈することなく卒業の日を迎えて、今まさに心に抱いている思い」…これらすべての宝を、必ず将来の糧にしてください。そしてこの丘の上には、皆さんが確かにかけがえのない時を過ごした母なる学び舎が、これからも、いつまでも、ずっと… 君たちを見守っているということを、これから先も心の支えにしてください。このパワースポットで力を蓄えたそれぞれの「なりたい自分」が、大いなる光を放ち、未来の社会や世界を明るく照らしてくれる日々が訪れるとき、この丘の上の母校はその光によってさらに輝きを増すことでしょう。
 今後いかなる時も、須磨学園卒業生という誇りを胸に、建学の精神の通り、『清く、正しく、たくましく』、社会で、そして世界で、それぞれの“to be myself,...”の続きをしっかりと描き続けてくれることを、心から、心の底から期待しています。

2024年3月2日  須磨学園高等学校 校長 堀井 雅幸