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2022年度第3学期終業式 校長訓話

 おはようございます。3学期の終業式にあたり話をします。

 今年度もコロナウイルスの蔓延による感染症拡大の影響で、年度当初から社会的な不安が完全にぬぐわれることのないままに早一年が過ぎようとしています。依然として不安定な情勢が続いたことで、 学校生活においても一部には様々な制約が残った部分もありました。しかし一方で、社会に目を向けると、マスク義務化の解除やスポーツ観戦時の声出しの解禁、あるいは海外渡航の再開など、我々の日常の回復に向けて、着実に前進している部分はあります。皆さんも難しい局面を迎えることもあったと思いますが、時に力強く、時に柔軟に、この一年を立派に走り抜けてくれたと思います。

 さて本日3学期の終業式を迎え、学校としての一年の締めくくりの日を迎えました。いつも言っていますが、今日のような節目は、人生のターニングポイントとするチャンスです。須磨学園が創立100周年を迎えた2022年度という時間における自身の歩みを、この節目の機会にしっかりと振り返り、うまくいったことも、うまくいかなかったことも、経験したすべてを今後の糧にしてください。学校にとっての年末年始ともいえるこの神秘的な期間を有効に活用して、今年度をしっかりと振り返り、「様々な難しい状況下においてもこれだけたくさんの経験を得ることができた」という前向きな思いを抱いてほしいと思います。

 しかし一方で、全てを前向きに振り返ることができるほど実際は甘いものではなかったかもしれません。これまでを振り返ると、様々な手ごたえの裏で、「もっとこうすべきだった…」、「コロナの影響でこういうことができなかった…」など、後ろ向きな思いが浮かびあがることもあると思います。頑張ったのに結果が出なかったり、失敗してがっかりした経験もたくさんあったのではないでしょうか?このような経験をすると、「努力しても報われない」と悲観的な気持ちになってしまうこともあるかもしれません。

 この春に卒業した皆さんの先輩 ― 高校三年生に向けて卒業式で伝えたことを皆さんにもお伝えしておきます。「努力しても報われない」ことは絶対にありません。一般的には、努力によって手に入るものは「成功」だと思われているかもしれませんが、私は、努力で手に入るのは「成功」の前に「成長」だと思います。その成長を積み重ねた先にこそ、真の成功がもたらされるのです。今年度の振り返りは、テストで点数を取れたかどうかだけではなく、何か賞をとれたかどうかだけではなく、試合で勝てたかどうかだけではなく、… その過程をどう振り返って、どのように今後に活かすことができるか ― すなわち今後の糧を得ることができるかどうか ― を大切にしてほしいと思います。それこそが「成長」なのです。

 そして今後の成長のカギは、これまでの成功体験だけではなく、むしろうまくいかなかった失敗体験の中に数多く隠れています。失敗を糧に成長できたかどうかが本当に大切なのだと思います。勝負において「勝つ」ことを目指す中で、実際に勝った経験だけではなく、負けた経験こそが未来の勝利に向けて大いなる光になることがあります。「負けたことがある」ということがむしろ強みになることがあるのです。思い切って失敗してください。そのためにチャレンジをしてください。そのために目標を立ててください。そのためにたくさん考えて、たくさん向き合ってください。皆さんには、この丘の上のパワースポットで過ごす限られた時間の中で、たくさん考えて、たくさん描いて、たくさんチャレンジをして、たくさん失敗して、それに向き合って、未来への糧を得てほしいと願っています。

 というわけで、今日は失敗こそ成功のもとであるという名言三連発です。一人目は有名なドイツの理論物理学者のアルベルト・アインシュタイン氏ですが、彼は失敗についてこのような言葉を残しています。―『失敗とは進行中の成功である』― つまり失敗というのは成功に向かっている状態であるということです。まさに「失敗は成功のもと」ということですね。

 続いて昨年の須磨学園創立100周年記念式典で素晴らしい祝辞をいただいた、世界のビル・ゲイツ氏はこのような言葉を残しています。―『成功を祝うことはいいけど、失敗の教訓を心に留め置くことの方が大切なのだ』― という言葉です。ぜひ心がけたいですね。

 そして最後は、あの有名な発明家のトーマス・エジソン氏です。エジソン氏もたくさんの偉大な発明の陰に数えきれない失敗があったと言います。しかし彼は失敗についてこのような名言を残しています。―『私は失敗していない。「これではうまくいかない」という10,000通りのやり方を見つけただけだ』― という言葉です。超がつくぐらい前向きでいいですよね。

 皆さんも、うまくいかなかったことや失敗から目を背けず、そこにしっかりと光を当てて、地道に水をあげて、未来に向けての糧という大輪の花を咲かせてくれることを期待しています。

 この三学期終業式という節目に、改めて今年度の経験と真摯に向き合った皆さんが、次年度はさらにresilience ―回復力― を発揮して、これまでの制限や制約をはね返すような活き活きとした日常を取り戻す日々が訪れることを心から願っています。今年度は須磨学園が創立100周年を迎えるメモリアルの年でした。過去の先人の皆様の歩みに敬意を表し、新たな100年の歩みに思いを馳せてたくさんの夢や思いを表現し、力強い新たな一歩を踏み出す一年となりました。皆さんも自らの夢や思いを大いに語り、来たる2023年度を素晴らしい一年にしてください。大きな節目を迎える須磨学園が、皆さんの大いなる希望であふれることを心から期待しています。

 さてS1学年の皆さん、本日は中学卒業という大いなる門出の日です。全員でよい卒業式にして、力強く未来への一歩を踏み出しましょう。最後になりますが、K2・V1学年の皆さん、まもなく最上級生としての生活がスタートします。そんな皆さんにいつもの念押しをしておきます。『須磨学園はパワースポットです。』

 それでは2023年度もこの丘の上で、全員で、たくさんの未来へのパワーを産み出しましょう。よい春休みを過ごしてください。

2023年3月18日 高校校長 堀井 雅幸