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2022年度卒業証書授与式 理事長 式辞

 この冬は数十年ぶりという寒波が到来し、皆さんが今まで経験なさったことのないような、厳しく、長く、寒い冬でした。久しぶりに神戸に雪も降り積もりました。
 春の訪れを遠くに感じていたのですが、今朝、校庭の白梅と紅梅が咲いているのを見て、知らないうちに春が来ているのを知りました。
 この良き日に、須磨学園創立第99回目の卒業式が挙行されるにあたり、まず最初に御礼を申し上げたいと思います。
 ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、本校生の門出を共にお祝いくださることに厚く御礼を申し上げます。
 保護者の皆様、ご子息ご息女のご卒業を心よりお祝い申し上げます。長年に渡る本校へのご理解とご協力に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。保護者の皆様のお力がなければ、本校の教育は成り立ちませんでした。
 さて、たった今卒業証書を授与された、共学22期生、並びに一貫14期生、423名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの門出を心よりお祝い申し上げます。
 皆さんは今日、学校を背にして新しい世界に出て行かれます。
 3年前はコロナ渦でオンラインの入学式でした。今日、このようなかたちで皆さんの卒業を祝うことができて、本当に心からうれしく思います。
 この3年間、皆さんは制限の中で生活してきました。だからこそ、色々な工夫をして面白い取り組みを試みてきました。東京研修旅行でのタクシー100台は圧巻でした。テレビの取材も来ました。古都研修にも行きました。体育祭、文化祭、芸術鑑賞会も皆で知恵をしぼって実施しました。そのときにできることを考え、精一杯やり、楽しむことができました。工夫と知恵をしぼった皆さんに敬意と称賛を送ります。すばらしかったです。
 そして、コロナ禍で一つ忘れてはならないことがあります。それは人と人とのつながりです。そのことを実感したコロナ禍でありました。バーチャルでのコミュニケーションや交流。マスクをつけたままの表情が見えない会話、リモートは確かに便利ですが、学校という場所において、その在り方はどうだったのであろうと、私はいささか懐疑的ではあります。直接会って、対面で話をすることの重要性をひしひしと感じた3年間でした。普通のことが普通にできなくなる、そのときに初めてそのありがたさを実感したことと思います。
 このコロナ禍において、私たちが経験したことは、予測不能の世界で、未知の世界でした。これまで私たちは正解のある問に挑んできました。少なくとも、学校でやる学びはそうでした。大学入試の準備もそうでした。でも皆さん、これからは正解のない問にたくさん出会われることと思います。
 では、そのときにどうすればよいか、お話をしたいと思います。
 大切なことは、まず自分で考えることです。自分で考えて出した答えが、自分にとって意味のある答えだと思います。そして、挑戦することです。言い換えてみると、やってみることです。やってみることでしかわからないことがたくさんあります。そして、3つ目は、諦めないことです。 私たちは失敗やミスを恐れます。そして、やりたいことに挑戦するということをあまりしません。人間は完璧ではありませんのでミスをします。失敗もします。ここで大切なことは失敗をしたことから学んでいただくことです。そして、2度目の失敗をしないようにすることです。同じミスを繰り返さないということです。そして、失敗したことで、もし誰かほかの人に迷惑をかけたのであれば、謝ることです。誠心誠意謝ること、これも大切なことです。失敗を認めない、ミスを認めない、人のせいにする、実はそういう人は大人の中にも山ほどいます。そしてミスや失敗を認めない人は、自分はどこで間違えたのか、なぜ自分はうまくいかなかったのか、それがわからないままです。皆さん、失敗をしたら叱られると思っていませんか。社会に出ると責任を取らされる局面もあるかもしれません。でもまだそれは少し先のことです。失敗をしたから叱られるのではありません。失敗を認めず、反省をしないで、迷惑をかけた人に謝らないから叱られるが通常です。だから皆さん、もし失敗をしたとき、もしミスをされたときは、素直に失敗やミスを認めて、反省をして、謝るべき時は謝り、感謝すべき人には感謝をして、次に向けたチャレンジをすることが大切だと思います。失敗をしたくないという理由で物事に挑戦することを諦めないでください。実際にやってみないとわからないことは山のようにあります。結果というのはわからないことの方が多いものです。誰もが成しえなかったこと、それを成しえたことのある人は、誰も挑戦してこなかったことにその人が挑戦したからだと思います。
 社会に出る前の失敗は若者の大きな特権です。皆さんがこれからなりたい自分になるために、こうありたい自分になるために、いろいろなことにチャレンジをしてもらいたいと思います。
 人生はよく旅に喩えられますが、旅の意味は目的地ではなく、旅をすることそのものの中にあると考えます。ですから、なりたい自分になるための道のりの中で、皆さんが努力を積み重ねていらっしゃること、そこに大きな意味を見出していただきたいと思っています。ときには、道草をしてもいいと思います。遠回りをしてもいいと思います。
 そして何年か経って、ほら、今、こんなに面白いことをやっているんだと、皆さん、後輩たちに是非話をしに来てやってください。ちょうど、100周年のTBMフォーラムで皆さんの先輩たちがやってくれたように。
 では、皆さん、どうぞ良い旅をしてください。これからの皆さんのご活躍とご健闘を祈念して、私の話は終わります。
 卒業おめでとう。
2023年3月4日 理事長 西 泰子