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2022年度第1学期始業式 高校校長訓話

おはようございます。1学期の始業式にあたり話をします。
世界的なコロナウイルスの蔓延による感染症拡大の影響で、昨年度も引き続き大変な状況となりました。

大変な情勢が続く中で、確かに様々な制限・制約がありましたが、皆さんは「学びを止めない」という須磨学園の強い方針のもと、できる限りの活動を重ねてくることができました。

しかし1秒でも過ぎればその時間は「過去」です。経験を活かすことや反省はもちろん必要ですが、過去を振り返ったり、悔やんでいるだけではいけません。皆さんの熱いエネルギーは、これからいかようにも変えることができる可能性のある「未来」に注いでください。人にとって過去の経験というものは、時に有意義な道しるべにも、また時には歩みを阻害する足かせにもなりえるものです。それは私たちの気持ちの持ち方ひとつで大きく変わってくるものです。人が前向きな気持ちを持つにはきっかけが大切です。いつも言いますが、今日のような一年の門出となる始業式という節目は、本当にいいきっかけだと思います。ぜひ皆さんの前向きな「思い」と「声」によって、今日という日を、そして今年度という一年を人生のターニングポイントにしてください。しっかりと「未来」を見据えて、前向きに希望を抱きながら、自身にとって有意義な“to be myself,…”を描いてください。

人はたとえ変えたくても「過去」を変えることはできません。同時に「未来」はまだ訪れていない未知の領域なので、こちらもすぐに変えることはできません。しかし人は誰もが皆、未来の幸せを願い、未来をいい方向に変えていきたいと望みます。ではそのために何ができるでしょうか?

そのためには、「今」を変えるしかありません。簡単なことではありませんが、変えたいことがあるならば、変わりたいと思うならば、「今を変えていくこと・変えようとすること」が大切であると思います。そのために目標に向けて、自分が変えなければいけないこと、変わらなければならないことに向き合うことが大切だと思います。

もちろん誰にも決して変えてはいけない大切なことはたくさんあります。
しかし一方で、現代は誰もが何かを変えないと打破できないような壁を感じる時の中を生きているという側面もあると思います。新型コロナウイルスの蔓延によって苦労を強いられてきた今の私たちは、まさにそのような状況下にあると言うことができるでしょう。この2022年度の新しい門出の日にこそ、唯一人が変えることのできる「今」を、変えるべき「今」を、思い切って変えていく努力をしてほしいと思います。そしてその中で、自分自身の「変えてはいけないこと」という対極にしっかりと思いを馳せてほしいと思います。

以前も皆さんに紹介したことがありますので改めてとなりますが、フランスの作家マルセル・プルーストが残した名言が、今このような時に皆さんの背中を押してくれます。その言葉は、『発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。』という言葉です。何か新しい発見をするためには、黙って待っているだけではいけません。まず自分が変わろうとする決意や行動が必要なのだということです。まさに、自分を変えていこう、「今」を変えていこうという前向きな変化を志す者の背中を押す言葉だと思います。

まだ見ぬ未知なる景色を想い、これからの「未来」に思いを馳せるとき、それはすでに当たり前のごとくとらえている既知なるものに対して新たな見方・とらえ方を追求していくことが求められているのだと思います。一人ひとりの「未来」を形作る、変えていくための扉の鍵は、どこか遠いところや未知なる場所にあるのではなくて、「今」の自分自身が作ることができるかどうかにかかっているのです。つまり、心の持ち様によっていくらでも人は新たな発見と成長を見出すことができるということです。今一度、自身の抱えている問題について、自身を取り巻く状況や環境について、当たり前だと感じてしまいがちな自分の中の常識について、自らに関わってくれる・協力してくれる・応援してくれる・そして時に厳しく叱咤激励してくれる…そんなすべての人たちについて、思いを新たに向き合ってみてください。

「過去」の経験や思い出を糧にして、苦難にも果敢に向き合い、勇気をもって「今」を変えていく、そしてその新たな思いのベクトルが、輝く「未来」に向かっていく… 皆さんがそのような前向きな姿勢で、このはるかなる海を見渡す丘の上で、見るものすべてを素晴らしい感動に変えていくような『新たな目』を通して、自らの“to be myself,…”を後押しする『新しいものの見方・感じ方』を養ってくれることを心から期待しています。

今年度は、須磨学園創立100周年を迎えるメモリアルの年です。この大切な2022年度を、全員で、実りある素晴らしい年にしましょう。そして皆さん一人ひとりにとって、今年度が人生のターニングポイントだと言えるようなメモリアルとなることを心から期待しています。

2022年4月8日 高校校長  堀井 雅幸