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2021年度第3学期終業式 校長訓話

おはようございます。3学期の終業式にあたり話をします。
今年度も世界的なコロナウイルスの蔓延による感染症拡大の影響で、年度当初から社会的な不安がぬぐわれることのないままに一年が過ぎました。
そのような大変な情勢が続き、学校生活においても様々な制約が生じる中ではありましたが、皆さんはこれまで同様に、時に強い意志をもって、時に柔軟に、この一年を走り抜けてくれたと思います。

さて本日3学期の終業式を迎え、学校としての一年の締めくくりの日を迎えました。今日のような節目は、苦難や制約が多かった道のりを果敢に歩んできた皆さんが、この2021年度という時間を人生のターニングポイントにするチャンスです。学校にとっての年末年始の期間を有効に活用してこれまでの生活をしっかりと振り返り、いつも言っている通り「このような厳しい状況下においてもこれだけたくさんのことを実現できた」という前向きな振り返りをしてほしいと思います。皆さんは須磨学園の『学びを止めない』という方針のもと、コロナ禍の中においても立派に学習、行事、そして部活動を重ねてきました。そしてこの3月には皆さんの先輩である高校3年生が無事に立派な姿で卒業しました。厳しい大学入試にも果敢にチャレンジを果たし、自らの力で新天地に向かってこの丘を立派に巣立っていきました。

この二年、本当に厳しい状況ではありましたが、我々には平素では味わうことのできないような、大いなる「経験」を得ることができたという前向きな捉え方をしてほしいと思います。我々は、前向きな思いさえあれば、この経験を次なる新時代の糧にすることができると思います。皆さんそれぞれがこの一年を真摯に振り返り、場面ごとに経験できたこと、感じたこと、嬉しかったこと、苦しかったことも辛かったことも全て、しっかりと心にとどめて、次なる一年の、そしてさらに先の未来における糧としてくれることを期待しています。

そのためにも皆さんは常に自分の “to be myself, …”について、前向きな気持ちを取り戻してください。育んでください。もっともっと大きくしてください。そしてそれを声に出して前向きな「音」にしてください。内にしまっているだけではいけません。積極的に表現してください。昨日の吹奏楽部の壮行会でも言いましたが、「音」は人を鼓舞し、勇気づけ、そして時に安心感を与えます。「感動」を呼ぶものです。学校としての正月である4月には皆さんそれぞれの “to be myself, …” という素晴らしい音色が、この丘の上で響き渡ることを心から楽しみにしています。

皆さんは南アフリカ大統領を務めたネルソン・マンデラという方を知っていますでしょうか? この方は、若くして反アパルトヘイト運動に身を投じて、国家反逆罪で終身刑の判決を受けて、27年間に及ぶ獄中生活を送りました。しかし長い苦しみを乗り越えて、後に南アフリカ初の全人種が参加した普通選挙を経て大統領に就任したのです。ノーベル平和賞も受賞されました。その方の言葉で好きな言葉があります。それは、『何事も、成し遂げるまではいつも不可能に見える』という言葉です。想像もつかないような苦しみを乗り越えてなお立ち上がった方の言葉、そういう方の奏でる前向きな「音」には説得力があります。

皆さんも、やりたいこと、行きたい場所、つかみたい栄光、ゆずれない思い、目標、夢… それらの大切なものをはじめから不可能だと言って妥協しないでください。あきらめないでください。堂々と、胸をはって夢や目標を語ってください。何事もまずはひるまずにやってみてください。負けずに努力を重ねてください。そしてそれらの自らが放つ大切な光に向かって真っすぐに進んでください。その思いとその思いを表に出す勇気さえあれば、これまでの苦労や悲しみ、制限や不都合ですらも力に変えることができると思います。そして、一人ではその気持ちを維持し続けることが難しくても、皆さんには須磨学園があります。仲間がいます。先生方がいます。だから大丈夫です。いつも前向きにいようという心がけ、そして声かけを大切にしてください。

次年度はさらに皆さんがresilience ―回復力― を発揮して、これまでの制限や制約をはね返すような活き活きとした日常を取り戻す日が来ることを心から願います。次年度は須磨学園が創立100周年を迎えるメモリアルの年です。過去の先人の皆様の歩みに敬意を表し、新たな100年の歩みに思いを馳せてたくさんの夢や思いを表現する一年になると思います。皆さんも自らの夢や思いを大いに語り、2022年度を素晴らしい一年にしてください。大きな節目を迎える須磨学園が、皆さんの大いなる希望であふれることを心から期待しています。

2022年3月19日 高校校長 堀井 雅幸