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2021年度第3学期始業式 高校校長訓話

あけましておめでとうございます。3学期の始業式にあたり話をします。

いよいよ新たな年の幕開けを迎えました。
昨年も新型コロナウイルスの蔓延による感染症再拡大の影響で、まだまだ完全には社会的な落ち着きが取り戻せていない状況であったこともあり、それぞれ制限される部分が残る年末年始を過ごしたことと思います。

そのような情勢が続く中ではありましたが、皆さんは充実した冬休みを過ごすことができたでしょうか? 2学期の終業式でお話しした「失敗を恐れない」、「失敗こそ成功への糧」という前向きな気持ちを持ちながら新しい年を迎えることができているでしょうか? 先のTBMフォーラムにおいて先輩たちに背中を押された皆さんが、大切な「未来」を見据えて、一人ひとりが自身にとって前向きになれる振り返りをして、この3学期も明るく前向きに過ごしてくれることを期待しています。

さて、本日新しい年の「始まり」、そして3学期の「始まり」の日を迎えましたが、今日から始まる3学期は学校としての1年という観点で見ると、「終わり」の時期、言い換えると「締めくくり・集大成」の期間でもあります。学習においても、部活動においても、自身の習い事や趣味の領域においても、この期間に1学期・2学期に蒔いてきた種をしっかりと花開かせる努力を重ねてください。今年度の1学期・2学期も、社会的に不安定な情勢がずっと続いてきました。それでも皆さんは平素の学習においても、学校行事においても、部活動においても、学びを止めることなく、素晴らしい成果に結びつけてきました。その期間の自分自身に自信と誇りをもって、この集大成の3学期を力強く駆け抜けてください。

これまでも折に触れて強調してきましたが、私は、人が何かを追求し、何かを培い、そして何かを得ようとするときには、一見真逆だと思われること ―「対極」にあると思われる概念が、大きなヒントや原動力になるものであり、ともすれば表裏一体であると考えています。例えば、「リーダーシップ」を育む上では「協調性」を追求することが大切であり、真の「楽しみ」を得るためには「悲しみ」から目をそらさずに向き合うことが大切だと思うのです。そしてよい「始まり」を描くためには、いかに「終える」のかというところに思いを馳せることも大切であると考えています。人間の行いや、人間が追求できることは、道理の観点においても、心理の観点においても、結局は一つの線のようなつながりのあるものであり、一見対極的に感じることも全てがつながっているからこそ、そのように感じられるのかもしれません。

その意味では、新たな年・新たな学期の「始まり」であり、同時に学校としての一年の「締めくくり」でもあるこの期間は、始まりと終わり・締めくくりが同居する、まさに対極の概念が同時に意識されるような神秘的な期間であり、誰もがきっかけを得たり、成長を促される期間なのではないかと考えています。

このあとはTBM教育のプログラムのフルコースです。この神秘的な時期だからこそ、よりいっそう意味があるのです。だからこそ須磨学園は今日という日にTBM活動のフルコースに取り組むのです。この2022年という年を素晴らしい年にするために、不安定な情勢にも屈しない強い信念と目標について、たくさん想像して、たくさん考えてください。そして有意義でゆるぎない計画をしっかりと確立してください。人の心の広さ、高さ、深さ、温かさについてたくさん思いを馳せて、たくさん感じてください。考えたこと、感じたこと、心に決めたことをたくさん話して、しっかりと心を込めて、書き初めとして表現してください。2022年という新たな年をいかに始め、2021年度という今年度をいかに終えるかを同時に意識する中で、それぞれに大切な対極の概念が、根底では一つの線でつながっているということを感じてください。今日TBM活動にしっかり取り組むことで、今日考えたこと、感じたこと、定めた目標、そして今日という日そのものが、皆さんをしかるべき道へと導いてくれる道しるべとなります。須磨学園が創立100周年を迎える2022年を力強く駆け抜ける原動力を得る― 今日という日が皆さんにとってそのような貴重な門出の日となることを期待しています。

最後になりますが、高校3年生の皆さんはいよいよ勝負の年の幕開けです。ここまでくればファインプレーや一獲千金をねらいたくなる気持ちも出てくるかもしれませんが、やはり鉄則は「凡事徹底 ― 基本の徹底」だと思います。思いもしないファインプレーを生むのも、平素の基礎の積み重ね、そして「いつも通り」の精神です。これまで積み続けてきた基礎の醸成を信じて、自信をもってそのまま続けてください。繰り返し使ってボロボロになった教材を大切にしてください。いつも共に過ごしてきた家族や仲間や先生、そして環境を大切にしてください。そして…どんなときでも前を向いていてください。わからない問題があった、うまくいかない教科があった、共通テストのスコアが予想水準に達しなかった…など、これから様々な苦難もあると思います。しかしそれらも最終的な勝利に向けてのプロローグです。全時間帯でリードして勝つ試合などそうそうないでしょう。苦しいときでも勝利の瞬間に思いを馳せて、前を向き続けてください。そのためにも、逆転劇上等…はじめからそのぐらいの精神で勝負に挑んでください。心から応援しています。

さあそれでは全員で今日をよい日に、そして今年をよい年にしましょう。

2022年1月6日 高校校長 堀井 雅幸