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2021年度卒業証書授与式 理事長 式辞

この冬は、とても長く寒く感じられる冬でした。換気のために窓や扉を開けていたせいかもしれません。

5、6日前から、寒さが少し和らいたような感じがしていました。そして、昨日の帰り道、校庭の白梅が咲き誇っていることに気づき、今年も春が確実にやってきていることを確信いたしました。

共学21期生ならびに一貫13期生の皆さん、
この3年あるいは6年、時間と場所を共有した人たちに別れを告げて、新しい生活に入られる皆さん、ご卒業おめでとうございます。今日は区切りの日です。この坂道から、そしてこの階段から、先生の指示から、課題から、校則から、解放される日でもあります。皆さんがこれまでひたむきに積み重ねてきた努力と情熱をたたえます。

保護者の皆様にお礼とお慶びを申し上げます。須磨学園の教育を進める上で、保護者の皆様から賜りましたご支援とご協力、学校を代表して心より感謝申し上げます。また、立派に成長された子どもさんの姿を前にされて、お慶びはいかがのものかと想像いたします。誠におめでとうございます。

さて、卒業生の皆さん、
色々なことがあった6年間、3年間だったと思います。特に最後の2年間はコロナ禍にあり、制限のある中での高校生活でした。でも、皆さんは見事に高校生活を駆け抜けてこられました。皆さんの努力と汗と涙の量に敬意を表します。
瞬く間に過ぎていった3年間でしたが、振り返ってみると実に多くのことをしてきたことを実感されるでしょう。

コロナ禍での研修旅行。東京研修旅行でのタクシー移動は圧巻でした。Web授業、Web九時学、Web講座。時間の制限のある中での体育祭。文化祭、など。様々な取り組みを楽しんでこられた皆さんのエネルギーに圧倒されました。

これから10年先、20年先の人生において、皆さんは様々な困難や問題に遭遇されることと思います。
今まで出会ったこともない、経験したこともない、だれもが想像したこともない問題。それらの困難や問題にこれから皆さんは対応をしていかれることとなります。

正解はだれも知りません。

まだ生まれていない仕事。まだ発明されていない技術。まだ予測されていない社会問題の解決。それらのことについて、私たちだれも正解を知りません。

でも、私は悲観的な見方をしていません。
皆さんがこの学校で考え、実践してきた意志の力。学習に向かう姿勢。行事に向かう意欲。 課題へのアプローチの仕方。須磨学園での学びは決して受験の準備だけではなかったと思っています。皆さんがここで蓄えてきたすべての力を総動員してこれから遭遇されるかもしれない様々な変化と困難に果敢に挑んでいかれることを信じています。

恐れることはありません。

大切なことは、知識の量ではなく、考える力です。知らないことは調べればわかります。
大切なことは人との連携です。ご存じのように私たちは一人では何もできません。
そしてまた大切なことは、それなりの素直さ。皆さんこれからたくさんの間違いをされると思います。自らの非を認め、反省し、改善するということ。その素直さが大切だと思っています。そして最も大切なことは許し合う心、他を受け入れる寛容な心ではないかと思っています。

そういった力を皆さんは今までの学校生活の中で培ってこられたと確信をもって改めて言います。自信をもってください。

昨年の12月に先輩たちが皆さんをはじめとする後輩たちのためにフォーラムで話をしに来てくれました。

「ほら、今、こんなに面白いことをしている」、
「なりたい自分になるためにこのような努力を積み重ねてきた」
という話をしに学校に帰ってきてくれました。それぞれの卒業生たちの話を聴いていて、自分たちが今までやってきた取り組みは、間違いではなかった、と感じさせてくれました。とても嬉しかったことを覚えています。

先輩たちの話を聞き、後輩たちが触発され、そして自分の目標に向かって努力を積み重ね、そして社会の中で活き活きと活躍していってくれることが私たちの願いであります。

そして、皆さんの一人一人が須磨学園の同窓という不思議な連帯感のもとでこれからも繋がっていくことを期待します。時間と場所と経験を共有した人たちに生まれる不思議な連帯感のもとに。

人生はよく旅に喩えられます。
旅の意味はつねに目的地ではなく、旅をすることそのもの自体の中にあると言われます。ということは、人生は生きることそのものの中に意味があるのかもしれません。

皆さんがすばらしい旅をされることを願っております。ここから応援しています。
どうぞ身体に気をつけて。良い旅を。

2022年3月5日 理事長 西 泰子