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2021年度第2学期終業式 学園長訓話

 おはようございます。久しぶりに出てまいりました。
 年末ですので、お話を3つします。

■0学期に考える 「全体感」
 1つ目は、皆さん0(ゼロ)って知ってますよね?1、2、3、4、5、6、7、8、9で1の前に0がある。0という概念は7世紀にインドで発明されたわけですね。数学が世界で1番進んでいるのは、日本ではなくインドです。なぜか。インドが0を発明したからです。
 君らも0を発明しないといけないわけです。1月から3学期になる。学校としてはあくまで3学期と言わなくてはいけないのですが、僕は諸君らが3学期を0学期という名前をつけて、3学期と同時に0学期という考え方をしてくれたらうれしいです。
 0学期何をするのかと言ったら、0学期として勉強はしなくていいです。何をしてほしいかというと、全体感を持ってほしいということです。中学から入学した人は中学1年生から、高校から入学した人は高校1年生から自分が勉強してきた全部の教科書を家の食卓のテーブルか何かに並べてみてほしい。教科書を並べるだけではダメで、教科書の目次を見て、自分が須磨学園に入って来てから勉強してきたことを全部並べてみてほしいのです。するとどんなかんじになるのか。それは、諸君らがやってきた勉強の地図を見るようなかんじです。須磨学園の階段を上がって来ても、須磨学園の全部は見えません。須磨学園全部を見るためには、航空写真を見なくてはいけません。ちょうど須磨学園の上でヘリコプターから須磨学園を見れば、須磨学園の全体がわかる。そんなことを諸君らが、この学校に入ってきて勉強してきた知識全部を一覧で見てみるということを0学期にしてみる。そうしたら、続きの1学期、2学期が生きたものになる、有機的に結合した知識の塊になると思います。知識の俯瞰をまずこの年末にやってほしいなと思います。

■TBMフォーラム 失敗とは何か
 2つ目ですが、先々週、創立99周年のTBMフォーラムをやりました。アンケートを見ていて思ったのは、諸君らは大きな勘違いをしていることです。あのTBMフォーラムで発表された37人の卒業生を、諸君らは人生の成功者と思っているでしょ?須磨学園の秀才、天才、ピカピカ、鉄人バッジ組だと思っているでしょ?それはほんの一握りで、失敗してボロボロになって教員に名前を忘れられた人もいるのではないか、と思ったりしているでしょ?
 それは違います。失敗をたくさん重ねてきた人が人生の失敗者ではありません。失敗の話もしてほしかったという声もありました。それはそうなのかもしれませんが、みんなに失敗ということは何かということを一遍考えてみてほしいんです。僕は自信をもってみんなに言いたいのですが、失敗をうまくいかなかったことと思ってしまったなら、それで終わりです。それで終わりということは、それが失敗だと思います。失敗はこうするとうまくいかなかったという実験だと思うんです。実験というのはこういうことをすればうまくいって、こういうことをすればうまくいかないというものです。うまくいかなかったことを失敗というと、誰でも失敗は嫌ですから、失敗という名前をある出来事につけると、見たくもない、聞きたくもない、思い出したくもない、はい終わりとなってしまいます。そう思うのはよくないです。そうではなく、失敗をしたときこそ、うまくいかなかった状況をノートに書いて、どうしてそれはうまくいかなかったのかということを考えてみる、反省してみるということをみんなにしてほしいと思います。
 TBMフォーラムに出て元気にしゃべっている諸君らも、山ほどの失敗をもって今があると思います。僕なんかもうすぐ66歳だけど、うまくいかなかったことの塊です。僕の本を読んでみたらわかります。だけど、なんとかここまで来たのは、「失敗は失敗じゃない」と言ってきたからです。失敗に見えるようなことのどこがうまくいかなかったのか、ということを考えて、うまくいかなかったことを二度と同じ間違いはしませんという気持ちでやってきたからです。だからみんなも人生の陽の当たる立派なことに感動するだけでなくて、日常的に山ほどあるうまくいかなかったことを次のうまくいくプロセスにつなげていってほしいと思います。失敗を失敗という名前をつけてしまえば、その時点で失敗から学ぼうという気持ちがなくなります。それではあまりにもったいない。

■来年、創立100周年を迎えるにあたって
 3番目の話ですが、来年の1月から100周年の2022年に入るから、ぜひともこの年末にみんなに話をしておきたかったのです。1922年から始まった須磨学園ですけども、100周年でどういう気持ちかというと、学校は100周年でいろいろお祝いをします。学校として100周年になって、お祝いしない学校はないからです。学校の歴史で100周年というのは100年目で訪れるたった一度しかないから、100周年はしっかりお祝いしますが、諸君らは100周年を自慢してはダメです。
 100周年にあたってみんなに持ってもらいたい気持ちとは何か。大切なのは100周年という歴史を背負いながら、100周年も、101周年も、102周年も、103周年も、104周年も、105周年もこれからずっと毎日毎日を大切にしてほしいということです。それが私の切なる願いです。一日一日を大切にする。一日一日を大切にしてそれを積み上げていく。この100年間我々はそれをしてきた。これからも一日一日を大切にして生きていくということをしたいと思っています。諸君らにもそうしてほしい。一日一日を積み重ねたときに一生懸命毎日一日一日を送って、それを積み上げて、生きられたらいいなと思います。今日できることは今日する。今日疲れたから明日するというのではなくて、今日頑張るという生き方を来年からではなくて、僕の話を聞いた今日からもう一回思い出してやってほしいなと思います。そうやってくれたら僕はとても幸せです。

 私のバックのパネルは何年か前に作りましたが、そのときに放送であいさつして、各教室にインターネット配信されるといいなと思いました。今日は教室に映像を配信ができるようになってとてもうれしいです。そういううれしい年末であります。
 久しぶりに20分もしゃべってしまいました。よいお年を。

2021年12月25日 学園長 西 和彦