SUMA GAKUEN
学校法人
須磨学園
  • HOME
  • 2021年度第1学期始業式 高校校長訓話

2021年度第1学期始業式 高校校長訓話

 おはようございます。1学期の始業式にあたり話をします。
 世界的なコロナウィルスの蔓延による感染症拡大の影響で、昨年度、2020年度はこれまで我々誰もが経験したこともないような大変な状況となりました。

 大変な情勢が続く中ではありましたが、折に触れて伝えてきた通り、皆さんは「学びを止めない」という須磨学園の強い方針のもと、できうる限りの活動を重ねてくることができました。

 しかし1秒でも過ぎればその時間は「過去」です。経験を活かすことや反省は必要ですが、皆さんの熱いエネルギーは、これからいかようにも変えることができる可能性のある「未来」に注いでください。人にとって過去の経験は、時に有意義な道しるべにも、また時に歩みを阻害する足かせにもなりえるものです。それは私たちの気持ちの持ち方ひとつで大きく変わってくるものです。皆さんの前向きな「声」によって、2020年をいい意味での人生のターニングポイントにするチャンスはまだまだあります。今日のような2021年度の門出である始業式という節目は、いいきっかけだと思います。しっかりと「未来」を見据えて、前向きに希望を抱きながら、自身にとって有意義な“to be myself,…”を描いてください。

 人は「過去」を変えることはできません。同時に「未来」はまだ訪れていない未知の領域なので、こちらもすぐさま変えることはできません。しかし人は皆、未来の幸せを願い望みます。未来をいい方向に変えていきたいと皆が望みます。ではどうすればよいのでしょうか?

 簡単なことではありませんが、それは「今を変えていくこと」だと思います。もちろん誰にも決して変えてはいけない大切なことはたくさんあります。しかし一方で誰もが、何かを変えないと打破できない壁を感じるような時を生きているということも言えると思います。新型コロナウィルスの蔓延によって苦労を強いられている今の私たちは、まさにそのような状況下にあると言うことができるでしょう。学園長先生がいつも話されるように、「信念」は、「今の心を信じる」と書きます。この2021年度の新しい門出の日にこそ、皆さんが感じている今の心を信じて、唯一人が変えることのできる「今」を変えていく道のりに思いを馳せてほしいと思います。

 あるフランスの作家はこんな名言を残しました。『発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。』という言葉です。

 まだ見ぬ未知なる景色を想い、これからの「未来」に思いを馳せるとき、それは既知なるもの ― すでに当たり前のごとくとらえているもの ― に対して新たな見方・とらえ方を追求していくことが求められているのだと思います。一人ひとりの「未来」を形作る、変えていくための扉の鍵は、周囲や未知なる場所にあるのではなく、「今」の自分自身が作ることができるかどうかにかかっているのです。今一度、自身の抱えている問題について、自身を取り巻く状況について、当たり前だと感じてしまいがちな自分の中の常識について、自らに関わってくれる・協力してくれる・応援してくれる・そして時に厳しく叱咤激励してくれる人たちについて… 思いを新たに向き合ってみてください。

 理事長先生が卒業生にお話しされた、人が必ず有するというresilience ― 回復力 ― を信じて、「過去」の経験や思い出を大切に、苦難にも果敢に向き合い、勇気をもって「今」を変えていく、そしてその新たな思いが輝く「未来」に向かっていく… 皆さんがそのような前向きな姿勢で、このはるかなる海を見渡す素晴らしい景色の丘の上で、見るものすべてを素晴らしい感動に変えていくような『新たな目』を通して『新しい見方』を養ってくれることを、心から期待しています。

 それでは全員で素晴らしい2021年度を作っていきましょう。

2021年4月5日 高校校長  堀井 雅幸