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2020年度 中学校卒業式 理事長 式辞

 たった今、卒業証書を授与された中高一貫15期生の皆さん、須磨学園中学校ご卒業おめでとうございます。

 この3年間を振り返ると、皆さんは本当にいろいろなことを学び、経験されて大きく成長されました。皆さんのご家族は心身ともに立派になられた皆さんを見て、心から喜んでおられることと思います。私たちも皆さんの成長をとてもうれしく思っています。

 中学生活最後の1年間は、コロナ禍での生活でした。今まで経験したことのないことが起こり、毎日が新しいことの連続であり、学びの日々でした。当たり前の日常が当たり前ではなくなり、感染症対策と、ソーシャルディスタンスと、リモート授業の実施の中で皆さんは多くのことがらに柔軟に取り組まれました。素晴らしかったです。皆さんの頑張りを誇りに思います。そして皆さんは今日、この卒業の日を迎えられたというわけです。

 今日のこの卒業式は、1つの区切りです。今まで切れ目なく続いてきた中学校生活において、そしてこれからも続いていくはずの学校生活において、S1からS2になることを、皆さんは当たり前のことと、受け止めておられるかもしれませんが、実はそれは特別なことであると申し上げたい。
   まず今日の卒業式は、義務教育が終了した日です。義務教育というのは、国、政府、人が子どもに受けさせなければならない教育のことです。小学校の6年間、中学校の3年間、合計9年間の義務教育の期間が終わりました。この義務教育について、この後担任の先生からお話を聞いてみてください。ここでは割愛します。そして皆さんが、今日は子供から大人になる区切りの日であること、これを今日は認識していただきたいと思います。

 では、子供と大人の違いは、何でしょうか。何だと思いますか?私が子供だなと思う人は、どういう人かというと、例えば、自分の思い通りにならない時、世の中の多くのことというのは自分の思い通りになることの方が少ないですけれども、その時に駄々をこねたり、わがままを言ったりする、そして自分の思い通りにならないことを相手のせいにする、自分に足りないことがあったことを反省しない、人に迷惑をかけても謝らない、そういう人が子供だと思います。程度の差はあっても、皆さんには1つ2つ思い当たることがおありだと思います。私を含めて、実は大人の中にもそういう人がいます。反省をしないまま生きてきた人は、子供のまま大人になってしまいます。それは恥ずかしく情けないことですが、当の本人はそのことに気づかなかったりしています。わがままは1度や2度なら許されることもありますが、皆さんのわがままは今まで周囲から許されてきたと思います。でも、2度、3度、4度とわがままを重ねてきた人に申し上げたい。そろそろわがままを言わずに、自分がやったことや、自分がやらなかったこと、自分が言ってしまったこと、自分が言えなかったこと、それらに責任を持ってください。責任を負うということは、自分のしたことを他人のせいにしないで、自分のこととして引き受けることです。たとえ、その問題を解決することができなくても、何がいけなかったのか、考えて行動することです。感情的な反応ではなく、理性的な解決策を探っていきましょう。自分はどうすればいいのか、どのようにすべきなのかを幼い自分に問う、大人の自分を育ててください。皆さんには、そのようなたくましい理性を獲得してもらいたいと思います。
 他人とトラブルがあった時に、感情のおもむくままに怒ったり、泣いたりするのではなく、相手の立場に立って想像力を働かせて考えてみてください。これはイマジネーションの問題です。相手がどう思うのか、どう感じてるのか、どういう人なのかを考えてみる。とても難しいことですけれども、それは人との関係においてとても大切なことです。考えた後で次に何をするのか。考えたことを相手に伝えることです。それが一番いい方法だと思います。相手が受け止めてくれなかったらどうするか、その時には自分の考えたことを周りの大人に聞いてください。先生や両親や先輩たちに聞いてみてください。周りの大人は皆さんが求める答えを持っていないかもしれません。誰も答えをもっていないかもしれません。でも、自分で出した答えが、たとえ間違っていても、私は自分にとって一番いい答えだと考えています。自分自身の知恵や経験やすべてを総動員して出した答えこそが自分の答えであり自分自身がスタートする原点だからです。

 自分自身から始めるということ、その答えが間違っていても大丈夫です。どうすればいいか。修正すればいいんです。間違えたらやり直す、修正する、直す。反省をして軌道修正をして正しいことをやりましょう。そうすることを繰り返すことで、今までわからなかったことが1つ1つ腑に落ちてくることがあります。私は皆さんにそういう学びを期待しています。

 皆さんの更なる成長を願って、これからも応援していきます。ご卒業おめでとう。

2021年3月23日 理事長 西 泰子