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2020年度 中学卒業式 学年部長 挨拶

 中高一貫15期生の皆さん、卒業おめでとうございます。須磨学園中学校卒業にあたり学年団を代表して2つの話をしたいと思います。

 1つ目は昔話です。20年前、私も皆さんと同じ15歳でした。ただ、私の学生時代は決して「楽しかった」と言えるものではありませんでした。以前にもお伝えしましたが、私は目指していた高校に行くことができませんでした。高校生になってから私が目指していた学校に通っている友人に出会うことがありました。友人たちと話をしていると、誰もが充実した学生生活を送っており、輝いて見えました。目指していたところへ行くことができなかった自分だけが楽しめていない孤独な存在に感じました。

 社会人となった今、ふと思うことがあります。それは、もし今高校時代に戻れるのであれば、もっと楽しめるのではないか?ということです。当時の私は「他者への問題」にだけ焦点を当て、その一方で「自分への問題」には全く焦点を当てていませんでした。つまり、楽しめていないことを環境のせいにし、自分には全く問題が無いと思い込んでいました。そして自分がいる環境の悪いところばかり見つけ、良いところを探そうともしませんでした。もし、自分に対して問題を感じることができ、自分が変わろうという努力ができていれば、もっといい方向に変わっていたのかもしれません。

 要するに、私の場合「自分への問題」を無視し、「他者への問題」にしか焦点を当てることができなかったために、プラスへ進んでいける可能性をつぶし、マイナスの方向に進んでしまいました。私自身がこの事に気が付いたのは恥ずかしながら高校を卒業した後のことです。

 ところで今年度はコロナウイルスの影響もあり、これまでとは大きく違った1年間でした。中止になった行事もありました。学年全員で集ってレクリエーションをすることができないこともありました。皆さんにとって多くの我慢があったかと思います。しかし、決して後ろ向きに考えず、コロナ禍だからこそできることはないかと必死に考える皆さんの姿がありました。Zoomを用いたクリスマス会は結果として成功し、新たな楽しみ方を生み出すことができましたね。このことから自分たちが置かれている環境のせいにせず、プラスにとらえ前へ進んでいく力がちゃんと皆さんの中に根付いていることを知ることができました。

 続いて2つ目の話です。皆さんは2018年4月の事を覚えていますか?今と同じようにこの体育館に集まっていた日の事を私は良く覚えています。着なれないぶかぶかのブレザー姿でちょこんと座っている皆さんがあの頃この場所にいました。あれから3年が経ちました。すっかりブレザー姿も似合うようになり、心身ともに立派に成長した皆さんが今ここにいます。思い返してください。この3年間数多くの思い出があったと思います。アジア研修、合唱コンクール、サマーキャンパス、昼休みのボール遊び、もちろん海ほたる採取も忘れてませんよね?ただ、過ごした期間が長いだけでは、また単純に行事をこなすだけでは良いチームにはなっていきません。ともに過ごす中で、仲の良い喧嘩ができないと良いチームには成長していかないのです。仲の良い喧嘩とはあれでもないこれでもないと自分たちの意見を互いに積極的に出し合いその中で意見をまとめていくことを指します。仲の良い喧嘩ができることで、互いに認め合い、尊重できる良いチームに育っていきます。3年間皆さんが仲の良い喧嘩をしている様子を行事や日常生活の多くの場面で見つけることができました。このことから15期生の皆さんはつながりのある良いチームになるためのステップを確実に上っていると断言できます。

 最後に、これから高校生になる皆さんへ。今後困難なこともきっとあると思います。ただ、皆さんには前向きにとらえ何事も楽しさに変える力や明るさがあります。そして、仲の良い喧嘩ができ互いに支え合える元気な15期生の仲間たちがいます。これらのことから、たとえ困難に直面したとしてもしっかり向き合い、乗り越えていく皆さんの姿が私には想像できます。明るく・楽しく・元気な15期生の皆さんと3年間をともに過ごすことができたことを誇りに思うと同時に、皆さんのこれからの3年間の健闘を心より祈っています。簡単ではございますが挨拶とかえさせていただきます。

2021年3月23日 学年部長 岡本 睦功