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2019年度中学入学式 久元喜造 神戸市長 祝辞

 皆さん、こんにちは。神戸市長の久元喜造です。

 今日は春爛漫の麗らかな素晴らしいお天気になりました。
 学校法人須磨学園 須磨学園中学校の入学式にお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そして保護者の皆様方に対しましてもお喜びを申し上げたいと思います。
 間違いなく、申し上げることができますのは、学校法人須磨学園は素晴らしい躍進を続けておられるということです。そして日々、進化を続けておられるということです。学業のみならず、文化・スポーツの面でも素晴らしい成績・実績を残しておられます。只今の、国歌演奏一つを聴きましても、音楽のレベルでも素晴らしい水準を誇っておられることを知ることができました。皆さんは、素晴らしい学校に入学されたと思います。大きな可能性が与えられたのだと思います。この可能性を活かして充実した中学校、そして大部分の皆さんは高校に進学されると思いますが、この須磨学園でしっかりと勉強し、成長していっていただきたいと思います。

 折りしも、平成の時代が終わり、令和の時代が始まります。新しい元号「令和」は初めて国書「万葉集」の一節からの典拠となりました。この一節は繰り返し報じられています。
 『初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す』
 難しい万葉言葉ですが、厳しかった冬が終わり、梅が咲き誇っている、やわらかな風がそよぎ、そのような中を人々が和やかに語らっている、そういう風景が詠われているのではないかと思います。
 振り返れば、平成の時代は平和な時代でしたけども、災害が多い時代でもありました。海外を見れば、残念ながら分断と対立が高まっています。令和の時代、新しい時代を迎える我が国は日本の美しい風景を大切にし、そして平和な穏やかな社会をつくっていきたい、そういう願いが込められているのではないかと思います。
 震災を市民が助け合って、乗り越えてきた神戸においても、その令和に込められた想いを共有し、美しい神戸を、そしてみんなが助け合って暮らすことができる地域社会をつくりあげていきたいという想いを新たにいたします。この令和の時代、どのような世の中になっていくでしょうか。間違いなく言えることは、テクノロジーがこれからも加速度的に進化をしていくということではないかと思います。人工知能、AI、モノがインターネットとつながるIoT、ロボット、そしてゲノム研究、再生医療などのテクノロジーがさらに進化をしていくことになることは間違いありません。私たちはこのようなテクノロジーと真正面から向き合い、それを自らの中に取り込んでいかなければなりません。ネット社会の中で、テクノロジーの進化はあっという間に世界に広がっていきます。また海外からも伝わってきます。いろいろな意味で私たちはグローバル社会の中で生き続けていかなければなりません。

 そういう中で、はっきり言えることは、やはり目をキラキラと輝かせ、好奇心に溢れた、そのような生き方を私たちはしていきたいということです。もうひとつ個別な話になれば、やはり英語力を身につけるということではないかと思います。これから中国がいかに大きな存在になろうと、ヒスパニック社会が膨張しようと、最後のフロンティアといわれるアフリカが発展をしようとも、そのことゆえに共通言語である英語の重要性はさらに高まっていくことになるのではないかと思います。個人的な事柄で恐縮ですけども、私は大きな悔いがあります。それは十代の時代にきちんと英語を勉強しなかったということです。皆さんはそういうことがないように、この須磨学園でしっかりと英語も学んでほしいと思います。

 須磨学園は素晴らしい英語教育・グローバル教育にも力を入れておられます。英語のみならず、国際感覚を身につけ、グローバルな社会で活躍できる人材として、しっかりと勉強していっていただきたいと思います。テクノロジーが進化をすれば、AIは人間の頭脳を超えるかもしれないとも言われています。部分的にはすでにそうなっているのかもしれません。そのような時代であればあるほど、私たちは人間であるということの意味を深く考える必要があると思います。日々進化を続けるテクノロジーに使われるのではなくて、私たちが自らの主体的な判断に基づき、テクノロジーを使いこなし、私たちの人間の幸せのために活用していく。そのためには深い洞察力と強い意志が必要ではないかと思います。ネット社会も進化をしていくと思いますが、ネット社会の中を漂流し続けているだけでは十分ではありません。ネット社会であればあるほど、ネットの向こうにいる見知らぬ他者とつながるのではなく、目の前にいる人間を大事にすること、目の前にある風景を大切にするということではないかと思います。自分の目で見、自分の耳に聞こえてくる音を感じ、漂ってくる香りを味わい、そして手で触ることができる世界を大切にする。現実を生きていく力は、現実と真正面から向き合っていくことのみ得られるのではないかと信じます。

 これから様々な分野で、須磨学園の先生方から教えを受け、それを自らの内に取り込み、友達を大事にし、違う感性や考え方をもつ人々を大切にし、楽しい学園生活を送っていただきますことを、お祈りを申し上げたいと思います。

 終わりになりましたが、学校法人須磨学園の皆様方の益々のご活躍と、須磨学園のご発展をお祈り申し上げます。
 そして神戸市は、甚だ微力ではありますが、兵庫県と連携をし、個性溢れる、伝統ある私立学校の発展のためにこれからも努力をしていくことをお約束申し上げ、お祝いと感謝の挨拶とさせていただきます。

 ありがとうございました。

            

2019年4月6日 神戸市長 久元喜造