この2、3日前から、校庭の白梅は咲き始めました。今日の日を祝っているかのようです。
たった今、卒業証書を授与された須磨学園高等学校・中学校一貫10期生ならびに、須磨学園高等学校18期生、420名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは心身ともに大きく立派に成長されました。先ほど、誇らしくみなさんの姿を見ておりました。
この6年間あるいは3年間、本校で皆さんが積み重ねてこられた努力と健闘を讃えます。また、みなさんの学年は今までの須磨学園史上前例のない取り組みをしてこられた進取の気概をもった学年でもありました。心よりお祝いと感謝を申し上げます。
今、これまでの6年間、3年間を振り返り、様々な記憶が蘇っておられることと思います。その一つひとつがこれから先、どのような意味をもって皆さんの記憶に残り、どのような位置づけをされていくのかを楽しみにしています。
保護者の皆様、ご子息ご息女のご卒業を心よりお慶び申し上げます。これまでの本校教育に対する保護者の皆様のご理解とご協力に深く、感謝を申し上げます。皆様のご理解とご協力なくしては、本校教育は成立しませんでした。ありがとうございました。
また、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、本日は卒業生の門出を祝ってくださり、心より感謝を申し上げます。
そして、皆さんとともに走ってきた学年の教員の健闘をこの場をお借りして讃えたく思います。教員もまた皆さんとともに成長をいたしました。この幸せな機会を与えていただけたことに感謝いたします。
さて、卒業生の皆さん、
皆さんは今日、須磨学園を巣立っていかれます。この記念すべき平成最後の年に、卒業される皆さんに最後にお話をさせてください。
皆さんが卒業されてから、来年、再来年の春、大学入試のあり方が大きく変わります。つまり、大学が皆さんに求める「力」、今までの学力ではなく、変化してきている、ということだと考えます。時代とともに社会や大学が私たちに、皆さんに求めることは、そして皆さんが求められていることは、私たちのあり方は、変化していきます。
どんな世の中になっても、皆さんは両目をしっかりと見開いて、自分を見失うことなく、しなやかに柔らかに、そしてぶれることなく、自分の進むべき道を歩んでいただきたいと思います。
少し個人的な話をさせてください。私の父の話です。父は、先代の理事長でした。父の死後、本校の先生から間接的に聞いた話です。
大正生まれの父は戦争に行き、航空母艦の偵察機に乗っていました。偵察機から戻る飛行中、敵機がやってくると、雲の中を飛んで母艦に戻ってきていたらしいのですが、雲の中では当然のことながら、前が見えず、自分がどこを目指して飛んでいるのかわからなくなります。その時、父はどうしたかというと、「こちらにいけばいい」という直感に従ったということでした。そして、その直感はいつも正しく、無事に帰還できたということでした。
私はこの話を聞いて、「直感に従う」という言葉に大変勇気づけられました。この話を聞いてから、先が見えない時や、どうすればいいのか判断がつかない時に、内なる声に従うことにためらいがなくなりました。不謹慎に聞こえるかもしれませんが、直感に従う判断、決断があってもいいと思います。この先、皆さんが何かの問題に直面し、知性も理性も全てを総動員してあらゆる可能性を考えて、それでも決めることができない時、あなたの内なる声に耳を傾けることも悪くはないと申し上げたく思います。 それはつまり自分自身を信じるということだと思います。
皆さんがこれからの人生で「こうありたい自分」を実現されることを願って、私の話を終わります。
皆さん、どうぞお元気で。思い通りの道を行ってください。
2019年3月2日 理事長 西 泰子