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2017年度中学校入学式 理事長 式辞

 一昨日から校庭の桜が皆さんの入学を待っていたかのように咲き始めました。この満開の桜の中、坂道と階段を登っていらっしゃった須磨学園中学校の14期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私達は皆さんが入学されてくる日を待っていました。これから6年間どうぞよろしくお願いします。保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学をお祝い申し上げます。これからの6年間は、皆様のご理解とご協力なくしては、須磨学園の教育は成立しません。どうぞよろしくお願い申し上げます。来賓ならびに関係者の皆様、ご多忙のなかご臨席を賜り厚く御礼を申し上げます。

 さて、新入生の皆さん。一昨日のオリエンテーションの冒頭で、お尋ねしました。今日、何人の人がおうちの人に起こされずに自分で起きて、自分で準備をしてここにいらっしゃったことでしょうか。挙手は要りません。再来週、オリエンテーション合宿が始まりますが、そのときに自分で起きることが出来ないと困ります。練習しておいてください。

 では、須磨学園中学生になるにあたって3点、皆さんにしていただきたいことをお伝えします。

 1つ目は、皆さんの自立です。今から始まる中学校生活の中で、まず自分の身の周りのことを自分ですることを求めます。受験勉強で忙しいときに、身の周りのことほとんど全てをおうちの人にやってもらっていたのではないですか。塾から帰ってきてテーブルの前に座ると温かいご飯が出てきてお風呂も沸いている。皆さんはご飯を食べて、お風呂に入るだけ。勉強だけしていればよかったかもしれません。しかし、中学生になった今日からは変わりましょう。自分の事を自分でするように心がけてください。この時期を逃すと大人になってから困ります。そして、もう一歩先を言うと、家の中で自分の役割を見つけて、その役割を担うこと。それができればもっと良いと思います。

 2点目は当たり前のことを当たり前にするということです。例えば、しっかりと挨拶をするとか、期日を守って課題を出すとか、時間を守るとかです。当たり前のことをきちんとできない人が突出した力を発揮することはあまり見たことがありません。特別なことではありません。当たり前のことをしっかり当たり前にする。須磨学園は自由を謳歌するような学校ではありません。どちらかというと、厳しい部類に属する学校です。制服もあります。制服の着方にも決まりがあります。制携帯があり、ルールを守って使っていくことが求められます。小学生には無かった校則もあります。でも、それらのことは社会に一歩出ると、実は当たり前のことです。しっかりとルールを守って過ごしてください。

 3つ目は自分の頭で考えて決めることです。皆さんがどういう自分になりたいのか。そのために、今何をするのか、何をしないといけないのか、自分はどうするべきか考えてください。須磨学園が皆さんに期待する学びのあり方は、主体的な学びです。やらされるのではない、自ら進んで学ぶ学びです。与えられるだけではない、自分からつかみにいく学び、そういう姿勢を期待します。

 今から3年後の2020年、今の中学3年生が大学入学試験を受けるときから、大学入試のあり方が変わります。なにが変わるのかというと、大学入試で問われる力が変わります。大学入試で問われるのは、学力だけではなくなります。問われる力は、あなたたち皆さんが、中学校や高等学校で、勉強以外に何をしてきたのかが問われます。そして、将来何をどのようにしたいのか、それも問われます。机に向かって知識を得る学びだけではなくて、更に深い学びの力が問われます。正解の無い問をどのようなアプローチで考えていくのか、目標に向かって自分はどのようなプロセスで実践していくのか。実践する力、そして皆さんの学ぶ姿勢が問われます。
 この大きな改革がなぜなされるのかというと、世の中の変化とともに社会で必要とされる力が、人のあり方が変わってきているからです。例えば英語ですが、英語は読み書きが出来れば昔は良かったのですが、その後それでは足りないということで、リスニングも必要になりました。センター試験にリスニング試験が導入されて10年以上が経ちました。その後、新しく問われる力が増えました。スピーキングです。社会や時代の変化とともに、求められる事柄は変わってくると皆さん知っておいてください。

 ここで、ちょっと極端な話をします。明日、もしかすると私達は東日本大震災と同じような状況にみまわれるかもしれません。そのとき、皆さんはどうしますか。その場面に遭遇しなければ分からない。経験しなければ分からない。教えてもらっていないから分からない。答えは実は大人である私達でも分かりません。ただ、机に向かって行う勉強だけでは足りないということです。私達のこの国が将来どのようになっていくのか、実は大人である私達にも分かりません。正解は無いのかもしれません。だから、まず、自分で考えて決めたことをやってください。誰かが決めたことや、人から与えられたことをやらされるのではなく、自分で決めたことを自らすすんでやってください。
 私は、自分にとって、一番良い決断とは、自分自身が決めることだと思っています。他の誰のものでもない自分の人生です。自分の人生における決断を皆さんはいくつもしていくことになります。どうか、主体的に行ってください。失敗するかもしれません。大丈夫です。どんな人でも失敗します。くじけないでください。程度の差はありますが、失敗しない人などいません。そして、失敗することは悪いことではありません。むしろ私は失敗したことが今でよかったねと申し上げると思います。守られた環境にいる今こそ失敗するときです。友達との関係で失敗することもあるかもしれません。その時大事なことは、なぜ失敗したのか、何がいけなかったのかを考えることです。そして、2度目の失敗をしないように心がけることです。でも、2度目の失敗をしても大丈夫です。また反省すればいいのです。そして、3度目の失敗をしないように気をつけてください。失敗を恐れず、間違いをすることを恐れずひるむことなく、果敢にいろんなことにチャレンジをしていってください。

 皆さんのこれからの活躍を期待して私の話は終ります。

2017年4月8日 理事長 西 泰子