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2016年度芸術鑑賞会 学園長挨拶

 創立94周年を迎え、記念のコンサートにあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 94年の歴史というものは、我々にとってあまりにも長い。94年の歴史を考えながら我々はどうしていったらいいかを考えるときに、私は、我々が最も大切にしないといけないことは、94年の歴史の上にたつ今を大切にするということではないかと思っています。今というこの瞬間は2度と戻ってきません。今を一生懸命生きる、今を一生懸命進むということを考えて、95周年、96周年と未来に向かって進んで参りたいと思います。

 今日のコンサートのプログラムをご覧になって、皆さんは変なコンサートと思われたことでしょう。1番から9番の曲はほとんどが5分です。レコードのサンプラーみたいなコンサートです。このようになった歴史をお話したいと思います。
 プログラムの最後のページをご覧ください。2010年からの創立記念コンサートのプログラムが書かれてあります。2010年と2011年はオーケストラをテーマにしました。この頃、創立記念コンサートをオーケストラ以外にやってみたらどうかという話があり、日本の音楽や歌劇などをやりました。2010年、2011年は、我々はオーケストラを19、20世紀の音楽の歴史において生まれた偉大な発明であるととらえて、オーケストラをあくまでもテーマにして、一つ一つの違った楽器が集まって作られるオーケストラ音楽を追求していこうと考えました。
 2012年は創立90周年のコンサートでした。コンサートの一番のテーマは越天楽でした。まず、コンサートを長い大きなフルファンファーレで始める。その後で、越天楽という日本の古曲を非常に有名な作曲家がオーケストラ編成に編曲をしました。今までの我々の歴史は西洋をいかに日本に取り入れてきたかという観点から選びました。その後に、モーツァルトのシンフォニー15番。これはモーツアルトが諸君らと同じ年に作った曲です。諸君らと同じ年の人がこんなことをできたのだということを知ってほしかったです。最後に、学校は90周年を迎えたが、我々は今でも未完成で、須磨学園は未完成の学校だということを肝に銘じるためにシューベルトの「未完成」を選びました。

 2013年はヴェルディとワーグナーでした。ワーグナーという優れた作曲家が生誕200周年ということで選びました。ワーグナーを選ぶということは、同時代のヴェルディも知っておいてほしいということで、この二人を選びました。
 2014年は音楽の非常に重要な要素の一つであるメロディーに注目して、普通に口ずさむことができる偉大なメロディーを作った作曲家を選び、くるみ割り人形や菩提樹、スラブ舞曲、大学祝典序曲を選びました。
 この時に我々は気がつきました。オーケストラという世界で共通のフォーマットではありますが、国によって、その音楽が意味するものが違う。そのため、2015年はオーケストラのバリエーションを考えながらいろんな国の曲を選びました。
 我々は、それぞれの偉大な国家の特徴を100周年に向けてたどっていくことにしました。その1番目がフランスです。アメリカ、イギリス、ドイツと比べるとフランスは日本から遠い国かもしれませんが、そうではないと私は思っています。6年一貫の諸君は世界一周の研修に行きます。その訪問国の中で一番仲良くしてくれる国はフランスではありませんか。また、我々が最初にホームステイしたのはフランスではなかったかと思います。

 ヒストリーを考えながら今を思う。そういう気持ちで今日のコンサートを楽しんでいただければ、こんなに嬉しいことはありません。

2016年11月8日 学園長 西 和彦