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2016年度高校入学式 学園長 式辞

学園長 式辞

 須磨学園高等学校にご入学、誠におめでとうございます。保護者の皆様におかれましては、大切なご子息ご息女をお任せくださいましてありがとうございます。その責任を思うと身の引き締まる思いでございます。3年後の卒業の日まで、我々は一生懸命、全身全霊をこめて教育にまい進してまいりたいという決意でございます。

 それでは、今日入学式にあたり新入生の諸君に3つ話をしたいと思います。

 1つ目、人間は個性が大事です。先日、大阪の公立中学校の校長先生が「女子は子供を2人産むことが一番大切である」という話をしておられました。私は、女性も男性もというよりも、人間は個性が大事だと思っています。一人ひとりの持っている持ち味、それを個性といいます。須磨学園に在学している3年間、どうぞ個性を大事にしてほしいと思います。もう1つ、女子は母性も大事にしてください。私は男なので、母性に関してはよく分かりません。子供が生まれたときに父親として子供を愛おしいと思ったことはありますし、母に愛されて育ったという自覚はありますが、母性というものは、女性しか持てない非常に大切なものだと思い、尊重して尊敬してきました。ということで、ぜひ母性を大切にしてほしい。でも、それは一人ひとりの女性の決意において母になるのではないかと思っております。

 2つ目は人生には4つの誕生日があると言われています。非常に有名な方の告別式で、教会の牧師さんがお説教されたのを私は初めて聞きました。4つの誕生日、ちょっと考えてほしいです。4つのうち2つはみんな当たります。1つ目の誕生日は自分が生まれたとき。4つ目の誕生日は自分が死ぬときです。2つ目、3つ目の誕生日はいつでしょうか。ほとんどの人は、結婚したときとか、子供を産んだときとか言います。何人も子どもを産むと誕生日がどんどん増えていくのでしょうか、そんなことはありません。
 答えから言ってしまうと、2つ目の誕生日は、自我に目覚めたときです。自分は何なのだろうと考え、自分は人間としてこういう人間であると自覚したとき、これが2つ目の誕生日です。
 3つ目の誕生日は、一人ひとりの個人がどうあがいてもどうにもならない宇宙の法則、物理学とか化学とか天文学とかその他色々、それを宗教に関係する人は神様の存在と言いますが、自分を取り巻くこの世界で自分がどうすることもできない存在に気付いたときが3つ目の誕生日です。
 私は、諸君らが間違いなくこの3年間に自分とは何かというときに気付くときが、ある日突然にやってくると思います。自分はこういう存在で、自分はこのときのために生きているのだと思うときが必ず来ます。なので、その日のことを楽しみに、その日が来るときに備えてほしいと思います。

 3つ目、夢に日付を入れてください。私はちょうど60になりました。還暦です。私が高校に入学したとき、当時の私は、今の私を想像することができたか。いいえ、全然できませんでした。大学に行ってアメリカで仕事をして、大学にまた戻って教えるようになって、須磨学園のことを手伝うようになるといったことは、全然予想もしなかったというかできなかった。
 何が言いたいかというと、諸君らは一人ひとり夢があると思います。その夢を日々修正していってほしいです。どう修正するかというと、大きい方向に修正してほしいです。今まで阪大を狙っていたけれど東大に行けるかもしれない。ならば自分の夢を阪大から東大に修正してほしい。大学を卒業して就職しようと思っていたけど、大学院に行けるかもしれない。ならば、自分の夢を大学院に切り替えてほしい。さらに博士課程に切り替えてほしい。人生の可能性の限界は、一人ひとりの夢の限界を超えることはありません。自分ができないと思ったら、そこで夢は止まります。夢が止まれば、実現の可能性がそこで止まります。
 夢を持つなら、できるだけ大きな夢を持ってほしい。そして高校3年間のうちに、夢に日付を入れてほしい。夢に日付を入れたら、夢は夢でなくなります。夢は何になるのか。夢は人生の目標になります。その日付を入れた夢、つまり人生の目標に向かって、プロジェクトマネジメント、タイムマネジメントを使ってこつこつ、一歩一歩進んでくれるような高校3年間であってくれたらいいなと心の底から願っています。

 諸君らの3年間の健闘を祈っています。

2016年4月9日 学園長 西 和彦