SUMA GAKUEN
学校法人
須磨学園
  • HOME
  • 2016年度 中学卒業式 学園長 式辞

2016年度 中学卒業式 学園長 式辞

 3月は卒業式の月です。高校の卒業式、来賓で来てくださいと頼まれている他の学校の卒業式もあります。色んな卒業式の中で、須磨学園中学校のこの卒業式が一番大好きです。一人ひとりの名前を読んで、一人ひとりに卒業証書を渡すというこの形式が好きです。本当ならば、全員の証書の文章を読み上げたいところです。実は読み上げた年がありましたが、長すぎるということで大不況でした。それで読まなくなりました。

 人生に誕生日は4つあるといわれています。4つの誕生日は何かということを皆さんちょっと考えてください。この話は、ある偉い人のお葬式でお説教をしている人がお話になったことです。僕はそれを25歳ぐらいのときに聞いて、非常に強い印象を受けて、今だに、その言葉を忘れていません。今日は諸君らにその話を話したいと思います。
 1番目は生まれた時です。2番目、3番目、4番目は何でしょう。大体これを聞くと、結婚した時とか、子どもが生まれた時とか色々な事を言います。
 2つ目の誕生日とは、自我に目覚めた日のことです。私は誰なのか、私はどうして生まれてきたのだろう、私はどういう役割を持って生まれてきたのだろう。子どもはそんなことを考えません。もう既に諸君らはTBMの時間にそういうことを考えている人もいるかもしれない。しかし、間違いなく15歳から20歳の間に自我に目覚めるときが必ずやってきます。無理にそれを今日考える必要はないですが、自我に目覚めるときが来ます。そのときが実は諸君らの2つ目の誕生日です。
 それでは、3つ目の誕生日はいつなのか。須磨学園は宗教で成り立っている学校ではありませんので、宗教の話は学校ではしません。お寺や礼拝堂に行きますが、宗教を知るということと宗教に関わることは別の話だからです。3つ目の大きな転機は、諸君らが神に目覚める時ではないかと思います。この神とは、神様仏様の神ではなくて、もっと大きなものです。この地球を、この宇宙を支配している天文学、物理学、化学、生物学などの学問を全部統合した、この世の中が成り立っているルール全部のことです。自分一人だけの力ではどうしようにもならない、何も出来ない、大きな法則によって世界は動いているということを感じたとき、それが、諸君らが神に目覚めたときです。では、いくつの時にくるのか。それは、人それぞれです。60になっても、それに目覚めていない人がいるかもしれません。
 3つ目の誕生日は、そういうことに気づいたときだとすると、想像をたくましくして考えると、4つ目の誕生日は死ぬ時ということになります。諸君らには、死ぬという言葉は遠い先のこととして、感覚的にも現実的にも意識されないと思います。それは、もっと先の話なので、しなくていいです。

 是非、自分とは何かということを見つめて、それについてのひらめき、それから、この世の中を支配している法則に気がつく、この2つの日を迎える準備をするのが高校の勉強だというふうに思ってくれたら嬉しいなあと思います。決して、大学受験のためだけではありません。

 立派な高校生になってほしいと心から願っています。

2017年3月17日 学園長 西 和彦