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創立百周年記念式典 理事長式辞

 まず最初に、御礼を申し上げます。ご臨席を賜りましたご来賓ならびに関係各所の皆様方、本日はご多忙の中、学校法人須磨学園創立百周年記念式典にお越しくださり、誠にありがとうございます。学校を代表して厚く御礼を申し上げます。生徒の皆さん、今日は百年に一度の式典です。形式を守ることも意思の表れです。しっかりと聞いてください。

 遡ること百年前、大正十一年に須磨の大手子守前に発足した須磨裁縫女学校は、時代と社会の移り変わりの中で、有りようを変えながら、しかし、実学の精神を引継ぎながら、学校の営みを続けて参りました。第一回目の卒業生がわずか三名という出発から、現在に至るまで三万四五五名の卒業生を送り出してきました。
 現在の須磨学園は、六十年前に板宿の地にやってきました。先々代理事長の時です。山を手に入れ、山を切り開き、当時は自衛隊の演習で山を切り開いてくれました、そして校舎を建て、その校舎が今の須磨学園の原型です。当時、平和台にあった校舎から生徒全員で机と椅子を歩いて運んで参りました。今では考えられないような牧歌的な時代でした。
 そして、現在の共学の中学高等学校の形になったのは一九九九年です。震災が大きなきっかけとなり、来たるべき少子化への対応と時代の求めに応えるために、共学化を図り中学の設立を決定しました。三年前には夙川中学校・高等学校をお引き受けして運営を開始し、現在の形になりました。
 この百年の歩みは先人たちのご努力の積み重ねの上にあります。これまで学園の生徒たちに愛情を注ぎ、学園を支え、学園の発展のためにご尽力をくださった諸先輩方に 敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げます。また、学園に関わってきてくださった数多くの方々の、有形無形のご支援に、心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございます。

 中でも、公私にわたりお力を貸してくださった方々には感謝してもしきれない思いでおります。皆さんにお借りしていることが山のようにありますが、未だお返しできないままでいることが時折、情けなくなります。
 力を蓄えて、この先いつかきっとお借りしていることをお返しできるようになりたいと思っております。今はただ、精一杯目の前のことに努めることしかできておりません。

 須磨学園が力を注いできたことは、学習面の取り組みだけでなく、時代と社会が求める人の育成を目指す「実学」です。須磨学園の建学の精神、『清く、正しく、たくましく』は、現在の私たちの取り組みにも生き続けています。
 一九九九年の男女共学化以降はさらに実学志向を加速させ、生徒たちが『なりたい自分になる』つまり『自己実現』するために必要とされる力の育成を目指して、情報教育の推進・リテラシーの育成、自己管理の手法の実践、海外研修旅行を組み入れた国際理解教育の実施、といった実践的かつ多岐にわたる取り組みを行ってまいりました。

 阪神・淡路大震災の後の混乱の中で決定した、共学化と中学開校の二十数年間は、個々の教職員の情熱と責任感だけで乗り切ってきたといっても過言ではないと思います。 目の前にいる生徒を伸ばすことだけに集中し、時間を忘れ、惜しみない努力を重ねてきた教員たちがこの学校をつくってきました。
 教育の取り組みだけでなく、研修旅行の準備、行事の準備、課外活動の指導、施設設備の整備、広報活動、入試業務と目の前に山積みされた仕事をがむしゃらにやり続けて、顔を上げて振り返ると二十年が過ぎていたような感があります。時が過ぎるのがこんなに早いとは思いませんでした。
 そして、時代は変わり、働き方改革が言われている昨今では『がむしゃら』だけでは乗り切っていけない世の中になってきました。新しい体制を整えていく必要性を強く感じています。
 時代と社会の移り変わりの中で、変わっていくべき学校のあり方・教育のあり方、それと同時に、守っていくべき学校の精神・教育のあり方を、改めて問い直さねばなりません。

 この先、どのような世の中になろうとも、また、どのような困難が待ち受けていようとも、生徒たちには、生き生きと生きてゆく『たくましさ』を獲得してもらいたい。時代を生き抜く力を身に付けてもらいたい。そして、持続可能な『学校としての体制の構築』が必要であると考えます。これは私たち世代の当面の責務と考えます。
 ありがたいことに、こんな『しんどい』と言われる須磨学園に、次の世代を担ってくれる若く情熱に溢れる人たちが集まってきてくれています。その中には本校の卒業生もいます。こんなにうれしいことはありません。
 学校もまた時代の流れとともに変貌する社会の中の存在であることを改めて認識し、歩みを止めることなく、さらなる取り組みを重ねていく決意でおります。
 須磨学園の生徒は面白いね、須磨学園の卒業生は面白い、須磨学園の取り組みは面白い、須磨学園は生徒も先生も楽しそうだ、と言っていただける学校になりたい。
 それが須磨学園の、to be myself, … です。

 皆様、引き続きご理解とご支援を改めてお願いさせていただきたく存じます。これからも須磨学園をどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和四年十月二十六日 学校法人須磨学園 理事長 西 泰子