中学校の卒業おめでとうございます。
中学生になるまでに小学校に行って、小学校に行く前に幼稚園に行って、幼稚園に行く前に保育園に行って、そういう社会生活というか学校に、諸君らは今まで行ってきたと思います。身の回りにおられた方は、お父さんとお母さん、おじいさんとおばあさん、兄弟姉妹、保育園や幼稚園や小学校のお友達、それからそれぞれの学校の先生、みんな諸君らが知っている人ばかりだと思います。これから中学を卒業して高校になっていくときに、だんだん自分がよく知っている人ではない、全く知らない人との出会いが増えていくと思います。知らない人との出会いです。否が応でも他人、他の個人ということを意識しなければならなくなります。
そういうときに、何が大切か。他人を意識すればするほど、自分のことを意識する必要が出てきます。自分はどういう人なのだろうか、自分は何をしようとしているか、自分はなぜ、何のために生まれてきたのか、ということが必要になってきます。
何十年も前に行ったお葬式のときのお説教の言葉が頭から離れません。そのときのお話は、「人生には四つの誕生日がある」と。お話になった先生は、「その四つの誕生日は何か考えてみてください」と言って、質問を投げかけられたわけです。私はそのうちの二つしか答えることができませんでした。「一番最初の生まれたとき」、「一番最後の四つめの誕生日は死んだとき」だと。
その間のあと二つの誕生日とは何なのかということを考えたときに、私は月並みなことしか思い浮かびませんでした。「結婚したとき」、「子どもが生まれたとき」。ほとんどの人がそう言います。その先生のおっしゃった正解は、二つめは「自分に目覚めたとき」。三つめは「自分にはどうしようもできない大きな力の存在を感じたとき」でした。ある人はそれを「神様を感じたとき」と言うかもしれません。ある人はそれを「宇宙のあらゆる物理法則、科学法則を知ったとき」と言うかもしれません。ですから、この四つの誕生日があるかないかが、人生を過ごしていく上での大きなマイルストーンになるということなんです。
自分のことをすでに意識をしている人が、この中にもたくさんいらっしゃるかもしれない。いや、まだそれはって言う人もいるかもしれない。でも言えることは、これから3年間を過ごす高校時代の諸君らは、自分って何なんだろうか、自分は何のために生まれてきたのだろうかという「自分に気がつくとき」が必ずやってくると思います。それが本当の意味での「大人になるとき」だと私は思います。
「そのとき」が来たときに、廊下で出会って、「先生、大人になったよ」と声をかけてくれれば、私はこんなに嬉しいことはありません。その日を目指して、それから大人になった諸君らが、それぞれの希望する大学に無事に進学することができるように、これからも須磨学園で諸君らの活躍を見守りながら応援してまいりたいと思っています。
今日は本当におめでとう。
2026年3月14日 学園長 西 和彦
