おはようございます。新年度のスタート、1学期の始業式にあたり話をします。
いよいよ新たな年度の幕開けを迎えました。
この学校としての正月である始業式にあたり、皆さんには改めて、「一年の計は元旦にあり」を意識してほしいと思っています。ただこの一月に大きな目標を描いたと思いますので、この新学年、新学期のスタートにおいては、目標として、逆に「できるだけ早く、できるだけ小さく挑戦する」ということを心がけてほしいと思います。
挑戦という言葉を聞くと「大きな目標」を思い浮かべる人が多いと思います。しかし今日皆さんに求めたいのは「昨日の自分より一歩だけ前に出る」というような小さな挑戦です。例えば、1日10分だけでも何かを継続してみる、今まで以上に掃除を頑張る、クラスでまだ話したことのない人に一言だけでも自分から挨拶する等、これらの小さな挑戦は、周りの人にはほとんど気づかれないかもしれません。しかし毎日少しずつ続けると、「自信」という名の糧が、少しずつながらも着実に積み重なっていきます。後に振り返ったとき、皆さんの学校生活や目標を支えるのは、派手な出来事だけではなく、こうした小さな一歩の積み重ねだと思います。 だからこそ、この四月の今、「ちょっとだけ前に出てみよう」という気持ちを、自分の中で固めてほしいと思います。
ただここで気になるのは、目標の大きい / 小さい とは何が基準になるのか、ということです。例えば「将来総理大臣になる」というのは、「毎日10分ランニングする」というのと比べて大きな目標というイメージをもつ人が多いと思います。これは何の違いでしょうか?毎日ランニングするのも、期間が長くなればなるほど、体調、天気、あるいは忙しさ、等にも左右されるので、これはこれで人によっては難しい目標です。
単純に前者の方が難しく大きな目標に思えるのはなぜでしょうか?今すぐにできるかできないかの時間的距離感でしょうか?ゴールまでの過程が多く複雑である物理的距離感でしょうか?
どちらもあると思いますが、私としては達成までの時間や距離の感覚を含め、達成をそもそも懐疑的に捉えてしまうような心理的距離感の影響が大きいのではないかと感じています。つまり私たちが描く「大きな目標」と「小さな目標」との間には、到達までの想定時間や物理的負担といった私たちがコントロールできない要因だけではなく、達成までの時間や距離感がもたらす心理的負担、そして様々な思い込み、偏見、フィルターといった心理的要因が大きく影響しているような気がするのです。要は、目標に向けてどう捉えているかという「心」のあり様が、達成までのプロセスに、引いてはその実現の有無にまで大きな影響を与えうるということです。
ドラえもんの道具に「オモイコミン」というものがあります。人間は「思い込み」という心の足かせが、ものすごくパフォーマンスに影響することに目を付けて、それを解消する薬です。例えば、のび太くんがドラえもんに、「畳のヘリの上を歩いてみて」と言われてやってみるとすいすい歩けたのに、それよりも幅の広いブロック塀の上だと下にドスンと落ちてしまいました。そこでオモイコミンを飲んで畳の上だと(錯覚で)思い込んだら、塀の上でもすいすい歩けたのです。あるいは、いつもボコボコにされているジャイアンを、オモイコミンを飲んでゴム風船だと思ったらボコボコにできたというケースもありました。
これは極端でファンタジーな例ではありますが、皆さん、実際に「不可能だ、難しい」という思い込みを、少しずつでも「できる、やれる」という思い込みに変換すれば、人生変わりますよ。何事も前向きに考えて、捉え方を工夫することで、大きくて難しいと感じていた目標が、‘小さく’というと語弊がありますが、目指し甲斐のあるもの、少なくとも着実に近づいていくことを実感できる目標として捉えることができるようになるということがあると思うのです。こうなると皆さんが普段取り組んでいるPMのやりがいが増します。ぜひ心がけてください。
新年度の目標の設定にあたり、先ほど「できるだけ早く、小さく」と伝えましたが、これは目標を‘簡単にできること’にしようと言っているわけではありません。まずはこれまで難しいと思って目を背けていたこと、時間的にはできるけど気が進まなかったこと、遠い未来の目標達成に向けて必要だとわかっているけど続ける意志を保てなかったこと、何となく後回しにしてしまっていたこと、あるいはもっと単純に、無理だと決めつける思い込みによって妥協していたこと…このような心理的な要因でこれまで向き合うことができていなかったこと、やっていなかったことの中から、できるだけ早く取りかかることができて、できるだけ一回の労力が小さそうなことを習慣の中に入れてみてください。他の誰かと、ではなくて「以前の自分」「昨日の自分」と比べて、できていなかったことに少しだけ目を向けることができた、という今日を過ごしてください。その積み重ねが、きっと大きな力を産み出し、新たな景色を見ることにつながるものと思います。ぜひ挑戦してください。
さあそれでは全学年の皆さん、今年度も気持ちのよい挨拶や素直なコミュニケーションを大切にしてください。しかるべき場面でしっかりと学園歌を歌ってください。パワースポット須磨学園の力の源の一つは、そのような皆さん一人ひとりの姿勢なのです。先日の入学式を経て、それぞれが改めて「先輩」となった皆さんの今年度の健闘を心から期待しています。
2026年4月6日 高校校長 堀井 雅幸
