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2024年度中学入学式 学園長 式辞

 入学式の今日、皆さんに質問が一つあります。その質問とは、人生には誕生日が四つあると言われています。四つの誕生日とは何か、これを少し考えてみてほしいのです。

 最初の誕生日は生まれた時、それから4回目の誕生日は、死ぬ時ではないか。ここまではすぐに諸君らは気づいたのではないかと思います。

 2つ目と3つ目の誕生日は何か、これが質問のコアであるだろう、と塾に通っておられたら諸君らは3秒位で気がついたのではないでしょうか。2つ目と3つ目は、ほとんどの人が2つ目は結婚した時、3つ目は子供が産まれた時、という感じのことを言います。人生についてはいろんな考え方がありますから、何が正解というのは一概に言えないと思うんですけど、私は、結婚した時とか子供が生まれた時ではなくて、2つ目の誕生日というのは一人一人の個人が自我に目覚めた時だと思うんです。つまり自分は何だろう、自分はどうして生まれてきたのか、そういう自分の存在理由に触れるようなことを考えた時、それを疑問に思った時、ではないかと思います。

 私はそれが君たちが須磨学園中学校、高校にいる六年間のある日にやってくると思います。ひょっとすれば明日かもしれないし、ひょっとすれば卒業式の日かもしれないし、ひょっとすれば卒業した後かもしれない。だけど、ほとんどの人はこれからの六年間のある日に、自分は一体誰なんだろう、という疑問を持ちそして自分でその疑問に答えるような日がくると私は信じています。それでは三番目はどんな誕生日かいうことですけど、須磨学園はずっと歴史的に政治と宗教からは距離を置いて来ましたし、これからもそれは変わりません。だから私が言う神様とは、いわゆる宗教上の神様ではなくて、もっと違う神様。この神の存在に気がついた時、それが第3の誕生日ではないかと思うのです。皆が授業で習う、物理の法則、化学の法則、生物の法則、社会の法則、天文や地学の法則、この世の中を支配しているあらゆるルールを全部足し合わせて一つにしたもの。それに対していかに人間は非力で、それに対していかに一人一人が影響力ないか、ということに気が付いた時。ああ、世の中には自分が何と言っても、どうにもならないことがあるんだなって。別に人生を諦めた時ではないんです。自分と、宇宙全体を支配している偉大な法則、これに気がついた時に第3の誕生日が来るんではないか。それはいつなのか、それはおそらく大学に行ってから、社会に出てから、になるんじゃないかなと思ったりします。

 ということで、これからの六年間に自分に気がつく日が来る、その日のことを楽しみに待っていただければいいなと思います。そして自分のことに気がついたよって、その日が来たらどうか我々に言ってほしいです。そうか、よかったな、大人になったんだなって、言って差し上げたい思います。

            

2024年4月6日 学園長  西 和彦