学園長式辞


 ご挨拶の前にまず申し上げたいことがあります。 男子の陸上部が兵庫県の代表になりました。こんなに嬉しいことはありません。 また、女子は近畿大会で勝つと全国大会に行けるチャンスがあると聞きました。 私は応援に行きたいと思います。皆さんも一緒に応援に行こうではありませんか。

 2004年から本校の創立記念式典の指揮者は牧村さんにお願いしています。 2003年の音は私の記憶ではひどかったのに、2004年に牧村さんにお願いしたときに音がすごく良くなりました。 その時、私は聞きました。「オーケストラのメンバーは変わったのですか。」答は、「いえ、同じです。」でした。 その時、はっと気づいたことがありました。トップが変わるだけで音がどうしてこんなに変わるのか。 指揮者がそれだけ大きな影響力をオーケストラ全体に及ぼしているということです。 思い返してみると、大阪交響楽団さんにお願いをして今年で16年になろうとしています。 同じオーケストラに16年、同じ指揮者に12年お願いしています。これでいいのか、変わらなくて良いのかと時々思ったりしています。 演奏の前にこんなことを言う失礼、無礼を許していただきたいです。 しかし、我々は1年1年、年をとっていく。 このまま変わらずに、50年、100年このままだという決心もあるでしょう。 毎年変えるという決心もあるでしょう。 創立記念式典という1つのイベントではありますが、どういうオーケストラに、どういう指揮者に、どういう曲を演奏してもらうかは、学園としての重要な意思決定の結果だと思っています。

 今日のオーケストラを見て、日本の他のオーケストラの編成と違うところがあります。 それは、コントラバスが6人いるということです。普通は1人から3人です。私は、オーケストラで低音に注目してほしいです。 スマートフォンの音楽には、100 Hz以下の音は入っていません。今日のオーケストラと同じ曲をスマートフォンで聞いても、100 Hz以下の低音は絶対に聞こえません。 もちろん、高音も10000 Hz以上の音は入っていません。100~10000 Hzがスマートフォンの音です。これはメーカーに依りません。 低音がくると、お腹がこそばゆい。低音の響きの心地よさを今日は是非感じてほしいと思います。

 思い返せば16年前、2000年に須磨学園に来た時、色々なところに挨拶に行きました。 その時、「須磨学園をどんな学校にするのですか」と聞かれました。ちょうど男女共学になって始まったときです。 私は「灘は無理かもしれませんが、甲陽に追いついて、しっかりした実績のある進学校にしたい。」と語りました。私は甲陽の出身なので、これが夢でした。 そのとき、周囲の方からは「あほ、ばか、出来るわけがない」という、とても厳しい意見を言われました。その時、悔しい悲しい思いを抱いたことを覚えています。 私がこれまで頑張ってこられた原点はそこかもしれません。
 今朝、理事長とこれから何をしていくかについて話をしました。 私は「小学校を設立して、小中高の12年一貫教育をしたい」と言いました。 理事長は「学校に来られないで引きこもっている生徒も自由に来られるようなホームスクールにしたい。通信制・単位制にして、学校に来られなくなった生徒を救いたい。」と言いました。 方向性や意見は違いますが、これからも現役でしっかりやっていこう、なりたい須磨学園のイメージを持って進んでいこうと確認しました。 この決意を表明して今日のご挨拶に変えたいと思います。


2015年11月4日 学園長 西 和彦