学園長 訓話


 おはようございます。2学期の初めにあたり、お話をしたいと思います。

 昨日の新聞やテレビで報道されていましたが、今日、9月1日は一年で一番自殺が多い日だと聞きました。大変ありがたいと感謝しなければいけませんが、須磨学園の中からはそういう悲しい話は聞こえてきません。しかし、自殺ということと我々は無縁なのでしょうか。今まで学校が始まって90何年間、在学の生徒が自殺したという例はありませんが、学校にとっても、この悲しい現実を避けて通ることはできません。9月1日や1学期の始業式、ゴールデンウィークが終わった日、年明けの3学期の始業式など、長いお休みが開けた日に自殺が多いことを考え、今朝、これからこういう風にしていくということを決めました。
 1つ目。須磨学園の図書室、今も既に朝から開いていますが、 須磨学園の図書室は朝8時から図書の先生にお願いして開けてもらうことにしました。 須磨学園の保健室も朝8時から必ず開いています。 「自殺がしたくなったら図書館に行け」とおっしゃっている公立図書館もありますが、どうせ行くなら外の図書館ではなく学校の図書室に来てほしい。図書室で本を読むことも苦痛だったら、保健室にきてほしい。何かちょっと気持ちがすぐれないとか、やる気が出ないときに、図書室や保健室が君たちが逃げ込むところ、休むところであってもいいと思いました。出てくるところが学校の保健室や図書室であれば、出席についても配慮いたします。そのことをぜひ心に留めておいてください。
 2つ目。何度も言っていますが、須磨学園はいじめを許しません。これまで、いじめは許さないという姿勢でやってきました。繰り返し言いますが、誰かをいじめたら、いじめた人は学校を辞めてもらいます。退学ということです。でも、そういうふうに言うと、嫌いな友達を退学にするために嘘のいじめを申告する人も今までにいました。いじめられていないのに、いじめられたと申告することも良くありません。もしいじめられたら、制携帯やパソコンから担任の先生か理事長か私にメールを下さい。我々はメールを見た1秒後からアクションをスタートします。

 自殺はなぜ起こるのかということを20年くらい前に考えたことがあります。当時、東京の霞が関の官庁、お役所の中の階段から飛び降りて若手の官僚が自殺したことがありました。エリートの中のエリートが仕事場で死ぬ。我々はこのことにショックを受けて、色々議論しました。結論から言うと、「もっと勇気を持たなければならない」のではないか。弱っている人にがんばれといっても効き目がないと思います。弱い自分をそのまま自殺に突撃していくような感じにしないで、勇気を持って目の前の困難を乗り越えていくということが必要ではないでしょうか。

 今、君たちに人間に一番必要なのは何かを考えていってほしいのです。それは「元気」だと思います。元気という言葉が好きです。元気は元の気と書きます。つまり、ぐっすり寝て、おいしい朝ごはんを食べたらなっている状態。「さあ今日も頑張ろう」と思える状態。それが元気です。でも、元気ではない状態もあります。それが「弱気」だと思います。また、「嫌気」です。「弱気」と「嫌気」を何とかして「元気」に持っていく。たっぷり寝て、栄養のあるものを食べて動く。その元気でいる人達はどうすればよいか。元気をさらに推し進めて、「勇気」を持つ。色んなことに勇気を持てば立ち向かっていけます。 いじめは、安易にいじめようとする悪い人がいて、原因があって意図的な行動をしはじめたときから始まり、延々と続きます。皆さん、そういう目にあたっときに、いじめを恐れないでください。勇気を持って恐れを捨ててください。そして、意地悪や悪口を言われたことを記録に残して、我々に言ってください。復讐をするとか仇をとるとかは考えていませんが、我々はいじめられた人と一緒に警察に行き、悪質な行動が無くなり、二度と繰り返されることがないように、あらゆる手段をとることを皆さんに約束します。

2015年9月1日 学園長 西 和彦