学園長訓話


 あけましておめでとうございます。新年にあたりお話をしたいと思います。

 去年の年末の3日間、インターネットもテレビも電話も使わない実験をしました。 テレビも見ない、電話もかけない、インターネットも見ない。その代りに、新聞や本を読んで、来た手紙を読むという生活をしました。 どうだったか。テレビや電話やインターネットが無くても、何も変わりませんでした。 年が明けてから3日間、年賀状を見ない、本を読まない、新聞を読まない。 その代りに、テレビを見て、電話をかけて、インターネットを見るという生活を過ごしました。 どうだったか。普通の生活でした。4日目に、テレビも見ない、電話もかけない、新聞を見ないというふうにあらゆるメディアを使わないという生活をしました。 どうだったか。ほとんど変わりませんでした。
 この1週間の実験で、私は普段無かったら困ると思っているテレビ・電話・ネット・新聞・書籍・手紙などが無くても、普段生活するには困らないということに身を持って体験しました。 そうした生活の中で記憶に残っている行動は何だったのかというと、メディアにアクセスするのに使っていた時間を使って、自分が考えたことをノートにメモしたことです。 つまり、人間としてメディアを通じて情報を受け取るというスタンスから、人間として自分の考えていることを記録し、さらにそれを発信するというスタンスの方が、 はるかに意味があって、はるかにやりがいがあって、はるかに楽しいということです。 ですから今年は、諸君らはパソコンの使い過ぎ、インターネットの見過ぎ、テレビの見過ぎ、ゲームのし過ぎといったメディアへの過剰なアクセスを考えなおしてみてはどうでしょうか。 私はそれを指摘したいと思います。

 高校3年生の諸君、時間が残り少なくなってきています。受験の日、試験の日、それに向かって一日一日、一時間一時間、 それぞれに等しく与えられた時間をぜひ大切に使って悔いの無い毎日を送ってほしいと思います。



2015年1月5日 学園長 西 和彦