学園長訓話


 おはようございます。2014年度2学期の終業式にあたり、お話をしたいと思います。

 昨日は、京都で高校駅伝の全国大会がありました。午前中は女子の部で、久しぶりに本校は出場できなかったです。 陸上部の女子の諸君は、京都に行って沿道で見学し、「来年はきっと出る」と決意をしたという話を聞きました。私も、来年は頑張って出場してほしいと思います。 文武両道の学校といっても、勉強ができる人とスポーツが出来る人は違うということに何か引っかかるものを感じていました。 しかし、あの大会に出場できない我々を思ったときに、やはり文武両道の学校ということで、勉強ができるかスポーツができる学校であり続けたいと決心をしました。
 午後の男子は出場できて、とても嬉しかったです。ゼッケンの番号は近畿地区代表の57番でしたが、兵庫県代表の西脇工業高校よりも良い成績を収められたことがとても良かったです。 男子の諸君らはよく頑張ったと思います。しかし、我々よりもスピードの速い走りをした高校がたくさんありました。 我々の実力は、まだそういうところなのかもしれません。
 諸君らの走りを見ながら、私はスポーツマン精神とは何かを考えました。私は、スポーツマン精神が嫌いです。 何故かというと、「スポーツマン精神にのっとって正々堂々と戦います」と宣誓で言われますが、それは「ルールを守りさえすれば、あとは何をしてもいい」と解釈できるからです。 ルールさえ守れば、相手の弱いところを徹底的にせめて点を取る。責めないと点は取れないし、点を取れないと勝てない。私は、それでいいのかと思います。 だから、他の人がどうであっても、自分が一生懸命やりさえすればその結果で勝てるというスポーツが好きです。 「スポーツマン精神が嫌い」という言い方は不謹慎と言われるかもしれませんが、いろいろと考えさせられることがありました。 来年の全国大会には、是非女子も男子も出場して日本で一番を狙うことをできたらいいと願っています。

 テレビの中継を見ていて、思ったことがあります。 テレビの中継をしている報道バイクがスピードをすごく出して、走っている選手の集団と集団の間を進んでいました。 それを見て、バイクの強さ、ひいては文明の利器の強さを思いました。選手が一生懸命走っているスピードをもろともしないで抜いていく。 200 m、300 mという距離を一瞬にして取り返せる文明の利器の力はすごいなと思ったわけです。それを考えながら、この冬休みに諸君らにやってほしいことは何かを決めました。
 高校3年生の諸君はもちろん受験の準備をしてほしい。 高校3年生以外の高2、高1、中学生の諸君には今からいうことをぜひ実践してほしい。 それは、電話やインターネットを使わず、テレビを見ない生活を一日といわず、二日、三日とやってみてほしいということです。 我々は携帯を使うこと、インターネットを見ること、テレビを見ることがあまりに日常的になりすぎてはいないだろうか。 電話をしないで手紙を書いてみる、インターネットを見ないで本を読んでみる、テレビを見ないで新聞を読んでみる。 それだけではなく、さらに手紙を書くのもやめ、本を読むのもやめ、新聞を読むのもやめた日が冬休みにあってもいいのではないか。 電話やインターネット、テレビや新聞などのメディアを一切拒否して三日間くらい生活してみるというのをやってみてはどうでしょうか。
 では、インターネットやテレビを見る代わりに何をするのか。そこが一番大切です。 何もしないでこたつに入ってみかんを食べて眠るという「冬眠」をしてはいけません。「冬眠」をするのではなく、諸君らにしてほしいことは、「深く考える」ということです。 「考える」ということはとても大変なことです。試験で答えを考える。これは、1時間で終わります。試験勉強をする。1日10時間もできません。 そうではなくて、自分が解いてみようと思う問題、自分なりの答えを見つけてみたい問題を選んで、そのテーマについて何日も何日も考えてみる。 一つのことを一生懸命考えるという経験を、一人ひとり違ったテーマで良いのでしてほしいと思います。 ユニークな、あるいは創造的、独創的なことは、他人のやっていることを真似してはできません。しかし、何も知らない自分では何もできません。 自分のもっている限られた情報、限られた知識、限られた本を読んで、自分なりのぴかぴかの答えを見つけ出して、素晴らしい2015年になるようにしてほしいと思います。

 年の終わり、年の初めの新しい考えが諸君らの来年、さらに未来を作るのだと思います。


2014年12月22日 学園長 西 和彦