学園長式辞


  須磨学園創立92周年の記念式典にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

  92年前に私の祖母は須磨裁縫女学校を始めました。職業婦人を育てようという考えがあったのです。 その三女であった私の母は、生まれたときから教師になる運命だったと思いますが、当時日本に2つあった教師になるための学校の1つ、奈良女子師範学校に進学して須磨学園の教員になりました。 父は銀行員でしたが、母と結婚して婿養子になりました。私の父によって、裁縫女学校から須磨学園は商業学校になりました。 そして阪神大震災の後に、須磨学園は女子高であることをやめ、共学の進学校になることを決意しました。 この92年間の歴史をたどっていくと、今日の日は創立の精神を確認する日ではなく、毎年毎に、我々の進む道はこれでいいのかを問う日ではないかと思います。 裁縫女学校を続けていれば、今はもうつぶれていることでしょう。高卒で就職をする商業学校であっても大変だと思います。 理事長が申し上げあげたように、その時代その時代が求める教育を提供し続ける学校であり続けることが大切だと思います。

  私は「今」という言葉が大好きです。今という字に似ている字で「念」という言葉があります。漢字では、今の心と書きます。 今の気持ちを強く思うことが「念ずる」ということです。般若波羅蜜多、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経とお念仏を唱えることが念ずるという人もいます。 しかし、もっと広い意味での念ずるということは、もっと身近でもっと毎日のことではないかと思います。 念ずるということは今の心、今の自分が考えていることを信じるということだと思っています。
  しっかりとした「今」の力を120%出すことが大切です。それを積み上げていくことによって過去が出来上がり、そしていい未来へと進んでゆくことができるのではないのでしょうか。 そのためには、一人ひとりが必ずそうなれると信じて、なりたい自分を強く思うことが大切だと思います。 今の心を信じるということで「信念」という言葉になります。信念を持ちましょう。

  今年は創立92周年ですが、100周年に向けて須磨学園には3つの希望があります。
  1つ目は、ピカピカの進学校になりたいと思っています。大阪大学に30人、神戸大学に30人行く学校になりましたが、 これを東京大学に30人、京都大学に30人、大阪大学に30人、神戸大学に50人いく進学校になりたいと思います。
  2つ目は、社会に出て通用するリーダーシップ、国際性、企画立案実行力、情報力、読書力、道徳と良心とマナー力を持った人になるように教育を進めてまいりたいと思います。
  3つ目は、人生の豊かさを学ぶ為に保健と体育、音楽と美術、技術と家庭をしっかりと教える学校になりたいと思います。
  さらに内容を洗練して、修正して、時代の求めに応じて変えていきたいと決心しております。


2014年11月6日 学園長 西 和彦