学園長 式辞



 須磨学園中学校にご入学おめでとうございます。

 私のお祝いの話は、小学校と中学校がどう違うのかについて考えてみたいと思います。子どもが行くのが小学校、大人が行くのは大学。 そうすると、中学に行く人は誰でしょう。ちょっと考えてみてください。こんな言葉は日本語にありませんが、作ってみると、「中供」という言葉がありそうです。 大人じゃない、中ぐらいの大人、「中人」という言葉が合うかもしれません。今日学校に来るために切符を買ったら、大人の料金を払ったでしょう。 私は、小学校と中学校の大きな違いは、そのことにあると思います。「中供」と「中人」の違いは、大人になる決心をしていない人としている人の違いではないかと思います。 大人とは、大学生とか社会人のことです。でも、世の中には、「大供」がたくさんいます。大きくなっただけの子どもです。 私は、中学校は大人になるための勉強をするところであると思います。 「中供」が「中人」になる。「今日から大人になるんだ」という決心を皆さん是非してください。 そうしたら、諸君らはその瞬間にもう立派な中学生です。

 次に、私が大切だと思う2つのことについてお話したいと思います。 1つは「頭」で、もう1つは「心」です。「『体』が足りないのではないのですか」と聞かれそうな気がしますが、体は生まれた時にほとんどの人が決まってしまっています。 もちろんスポーツで体を鍛えることはできますから、それも大切です。しかし、今日は、「頭」と「心」ということについてどうしていってほしいかということについてお話します。
 「頭」については3つのことをしてほしいと思います。「よく見ること」、「よく聞くこと」、「よく話すこと」の3つです。 見ないふりをする、聞いていないふりをする、何も言わないということが賢さであると昔の中国で言っていた例がありますが、あれは江戸時代の猿のことであって、ヒトは決してそんなことはありません。 いい頭を作るためには、色んな物を見て、色んなことを聞いて、自分が思っていることを正確に人に伝えていくということをする必要があります。
 皆さんが毎日使うのは携帯であったり、テレビであったり、パソコンであったりします。 もちろん便利で、我々にとってはなくてはならないものですが、電話やインターネットやテレビよりもっとも大切なものがあります。 それは、電話をかけることではなく、手紙を書くことです。それは、テレビを見ることではなく、新聞を読むことです。それは、インターネットで遊ぶことではなく、本を読むことです。 自分自身の手で文章を書いて、本と新聞をめくって読む。そういう中学生になってほしいと思います。
 それでは、「心」はどうしたらいいのか。それは、須磨学園では毎月1回、心をどうしたらよいのかということを、教わるのではなく、諸君らが考える授業があります。xyzTという授業です。
 心をどうするのか。
 1つ目は心を大きく持ってほしいと思います。
 2つ目は心を高く持ってほしいと思います。
 3つ目は心を深く持ってほしいと思います。
 そして最後の4つ目は、心を温かく持ってほしいと思います。どんなに大きな心を持っていても温かさがないと悲しいです。ぜひ皆さんは温かい心を持つ中学生になってほしいと思います。

 諸君らは無試験で高校に進学をします。高校受験という大変な取り組みがない諸君は是非その分中学生活を楽しんで送ってほしいと思います。

2014年4月5日 学園長 西 和彦