理事長 式辞


 皆さんのご入学を待ちきれずに咲きほこった桜の中、この坂道を登っていらっしゃった中学11期生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。 皆さんをお待ちしていました。これからの6年間、長い長い時間ですが、どうぞよろしくお願いします。
 保護者の皆様に、お祝いを申し上げます。ご子息、ご息女のご入学を心から歓迎し、お祝いを申し上げます。 これから6年間という長きにわたり、私たちに大切な子どもさんを託していただけることに大きな喜びとやりがいと責任を感じております。 保護者の皆様のご期待に応えるべく、教職員一同、一丸となり、全力を尽くして、子どもさんの指導にあたらせていただく所存でございます。
 ご来賓の皆様、本日はお忙しい中にもかかわらず、ご臨席を賜り、ありがとうございます。 これからの6年間、子どもたちを温かく見守り激励していただけますように、お願い申し上げます。

 さて、新入生の皆さん。皆さんが、一日も早くあたらしい生活のペースとリズムをつくり、中学校生活に慣れられることを願っています。 これからの6年間は、みなさんが少年少女から大人になる大切な時期です。そして次の段階の教育を受けるための準備の期間です。 この時期に、みなさんの「人格」の大部分が形成されると言われています。 どういう自分になりたいのか、どういう大人になりたいのか、どういう仕事をしたいのか、どういうことを学んでいきたいのかについて、これからじっくりと考えていきましょう。

 その過程において、皆さんに期待することは、3つあります。 1つ目は、自立です。自分で自分のことができる人になっていただくことです。 2つ目は、自律です。自分の頭を使って、自分自身で考えることのできる人になっていただくことです。 答えを教えてもらうのではなく、まず、自分の頭で考えることのできる人になっていただくことです。 3つ目は、人の気持ちを考えることのできる人になってください。相手の立場に立って物事を考える。これはとても難しいことです。 これは想像力の問題だと思います。相手の嫌なことをしない。相手が喜ぶことをする。そのあたりから始められたらいかがでしょうか。

 では、自立について少しお話をさせてください。
 皆さんが受験の準備をしている期間、お家の生活は、みなさんを中心としてまわっていたと思います。 塾が遅くなったときは、お父さんやお母さんがお迎えにきてくださる。テーブルに座れば温かいご飯がでてくる。朝は、お母さんが起こしてくださる。 色々な人のあたたかい思いに支えられて、皆さんは過ごしていらっしゃいました。「勉強だけしていればよかった」という人は少なからずいらっしゃるかもしれません。 受験を前にした皆さんはそれが許されてきました。でも、今日から皆さんは中学生です。中学生になったこの日をきっかけとして、少なくとも、自分のことは自分でできるようになってください。 少しずつでいいです。朝、自分で起きる。言われなくても、学校にいく準備をする。自分の身の回りのことが自分でできるようになったら、今度は、自分以外の人のために、何かできることをしていく。
 須磨学園に入学された今、これからの6年間で、皆さんは14回の宿泊研修旅行にでかけます。 そのうちの3回は海外研修旅行です。研修旅行は集団行動ですので、時間を守らなければなりません。 朝、自分で起きて、自分で準備をして集合時間に遅れないようにしなければなりません。みんなに迷惑がかかってしまいます。 「早くしないと遅れるよ」と言ってくださるお母さんもお父さんもいません。ですから、少しずつ自分のことが自分でできるように今から準備をしてください。 できることならば、自分のことだけでなく、人のためにも何かいいことができる人になっていただきたいと思っています。

 次に、自律についてです。皆さんが須磨学園で過ごす12歳から18歳までの6年間は、長い長い時間です。 今から皆さんがこうありたいという目標を持っているのであれば、皆さんは何者にでもなれます。何になりたいか。 どういう人になりたいか。色んな機会に色々と考えてみてください。みなさんが、「こうありたい」「こういう人になりたい」と決意すれば、何者にだってなれます。 何になりたいか、どういう人になりたいか、なかなか見えてこない人、決まらない人もいるかもしれません。 それは、それでいいと思います。あせる必要はありません。色んなことをやってみましょう。 色んなところへいって色んな物を観る。色んな国の異なった考えを持った人たちと話をして、自分の世界を広げていってください。 そして、6年後に、どんな道にも進めるように、力をつけていきましょう。

 私達の使命は、皆さんをやさしく育み導くだけでなく、時には叱咤激励しながら、皆さんの進むべき道を示し、環境を整え、困難も喜びも共にしながら成長していくことです。 ひたむきな努力を積み重ねてきた人達にもたらされる、深い喜びと満足を、ぜひ皆さんに経験してもらいたいと思います。

 最後に皆さんに申し上げておきたいことが1つあります。それは、どんな人でも失敗するということです。 程度の差はありますけれども、失敗しない人などいません。そして、失敗することは決して悪いことではありません。 むしろ、私は「失敗してよかったね」というと思います。友だちとの関係で失敗をすることもあるかもしれません。 そのとき大切な事は、「なぜ失敗したのか」ということです。それを考えて下さい。そして、二度目の失敗をしないようにしましょう。 もしも二度目の失敗をしてしまえば、また「なぜ失敗したのか」を考えましょう。そうすることで、三度目の失敗を同じ理由で繰り返すことはなくなるでしょう。 みなさんには、そういう学びを期待します。失敗を恐れず、間違うことを恐れずに、ひるむことなく果敢に勇気を持って、色々なことにチャレンジして下さい。

 みなさんのこれからの活躍を期待して私の話は終わります。


2014年4月5日 理事長 西 泰子