理事長 式辞


 長く厳しい冬を通り抜けて、校庭の桜は、皆さんのご入学を待ちきれずに咲き誇っています。 例え冬が長く厳しくても、毎年、春は確実にやってくるのだということを改めて感じさせてくれる入学式の日を迎えました。 新入生の皆さん、須磨学園高等学校へのご入学、おめでとうございます。私たちは皆さんのご入学をお待ちしていました。 これから3年間、どうぞよろしくお願いいたします。
 保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学を心より歓迎し、お祝い申し上げます。 本校の教育は、保護者の皆様のご理解とご協力なしには、成立しえません。これらの3年間、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、新入生の皆さん、皆さんは9年間の義務教育を終えられて、高校生になられました。 高等学校の3年間は、次の段階に進まれる準備の期間であります。新しい生活に入る皆さんに申し上げておきたいことがいくつもあります。 しかし、全部申し上げる時間はありませんので、3つお話をさせてください。

 まず最初に申し上げておきたいことは、最初が肝心だということです。 もしかしたら中学時代は、皆さんは授業の予習をきちんとして学校にいらっしゃってなかったかもしれません。 しかし、須磨学園高等学校の授業はそれほど甘くはありません。須磨学園は授業をとても大切にしています。最初から、出遅れないでください。

 2つ目は、学校というところは集団生活の場であるということです。ルールを守って過ごしてください。 須磨学園には、皆さんが通っていた中学校とは違って須磨学園独自の校則があります。公立の高等学校と比べると多少厳しいかもしれませんが、私学の中では比較的緩いと思います。 須磨学園では「ルールを守ること」つまり「社会にでて通用する」ことを意図しています。 どうかルールをしっかり守って過ごしてください。

 そして3つ目ですが、少し長くなります。 皆さんは、数ある高等学校の中から須磨学園にくることを選ばれました。 須磨学園は「なりたい自分になる」ということを、皆さんが自己実現をされることを目標にしています。 そのため、皆さんが目指すところは、自分自身で探し求めてお決めになられることです。 人から与えられた目標ではなく、自分の頭で考えて決めた自分になっていただきたい。その準備期間の3年間です。 皆さんの可能性は無限に広がっていると思いますが、時間は有限です。限りがあります。 そのことを認識しておいていただきたいと思います。どうか時間を無駄にしないで過ごしてください。

 この3年間で、当然のことながら、皆さんには苦しいことや困難が訪れることと思います。 時には友達やご家族からの慰めが必要でしょう。 しかし、悲しみに浸りつづけるということだけではなく、困難や辛いことに出会った時に、その時に「なぜなのか。どうすればいいのか。自分はどうするべきなのか。」を考えていただきたい。 人に聞く前に自分の頭で考える。なぜこういうことになったのか。どうすればいいのか。そして、自分はどうするのか。 その考えるということを皆さんにお願いしたいと思います。
 自分の頭で考えて自分で答えを出す作業。たとえ答えが間違っていたとしても、それは意味のある答えです。 間違っていたならば、どこで間違えたかを考えればいいのです。きっと二度目の間違いはしないでしょう。 二度目の間違いをしてしまったら、また考えればいいのです。そうすれば三度目の間違えはなかなかしなくなると思います。 困難に出会った時こそいい機会です。皆さんが「考えることを知る」きっかけとなるはずです。
 与えられるだけではなく、自分から答えを求める。求めて手に入れたものは貴重です。 自分の大切な血となり肉となります。そういう経験を一つでも多くしていただきたく思います。

 みなさんが3年後に取りくまれる大学入試の問題には少なくとも正解はあります。 模範解答もあります。しかし、世の中には答えのない、正解のない問が数多くあります。 それぞれの皆さんの、それぞれの立場や考えによって答えは違うからです。 どうぞ、この3年間で自分自身の答えを探し求めて、そして実践をしていただきたい。 3年後の皆さんが「どういうなりたい自分になられるのか」を楽しみにしています。

 みなさんのご健闘を祈っています。一緒に頑張っていきましょう。


2014年4月5日 理事長 西 泰子