学園長 訓話


 おはようございます。
 今日は終業式、それも3学期の終業式です。学年を終える式ですが、終わったものは終わったもので、それをどうこう言うより、今日は来年度の話をしたいと思います。来年度から「PMとTM」に新しい項目が増えます。それは、「xyzT」というものです。「xyzT」というのは何か、その心は何かというお話をして、終業式の話としたいと思います。

 10年前に「PMとTM」を須磨学園がやろうと決めたときに、失ったものは何かというと、道徳の授業です。須磨学園は「PMとTM」をやることによって「道徳」を教えてこなかったのです。最近、道徳が大切であるというふうにまた言われるようになって、道徳に相当するものとしては「MCP」をやっています。「MCP」とは、Moral(モラル)とConscience(良心)とPeace(平和)の頭文字です。人の決めた「道徳」と、自分の決めた「良心」と、世の中が必要としている「平和」を勉強することにしました。しかし、それ以外にもっと大切なものがあるのではないかと考えるようになりました。それが「xyzT」という名前であらわしていることです。これが何をあらわしているかというと、「心の持ち方」というものを4月から考えようではないかということです。

 かつて日本興業銀行という銀行がありました。この銀行の頭取であった非常に立派な人で、中山素平という人がいらっしゃいました。インターネットで調べるとすごくたくさん記事が出てきます。歴史的に名のある偉人です。僕はその方が生きておられるときに、話をさせていただく機会がありました。そのときに直接教えてもらったことに、心をどうしたらよいかということがありました。中山さんは、心をどう持つべきかということに関して、こうおっしゃっていました。「心を広く、心を高く、心を深く。そして、心を温かく。」つまり、3次元的に広い心、高い心、深い心を持つべきでないかと。そして最後に、心を温かく。大きな心をもった人でも冷たい心の人だと、もったいない。「xyzT」のプログラムというのは、この広さとは何か、高さとは何か、深さとは何か、暖かさとは何かということを諸君ら一人ひとりがしっかり考えるということです。加えて、具体的に心を広くとはどういう風な行動をしたらいいのか、心を高くとはどういうふうな行動をしたらいいのか、心を深くとはどういう風な行動をしたらいいのかを、毎月考えてもらうことにしたいのです。

 心が変われば何が変わるか。ものの見方が変わります。人の言葉の聞き方が変わります。つまり、自分に入ってくる見るもの、聞くものの感じ方が変わります。それから、自分から出ていくものが変わります。自分の言葉が変わる。話し方が変わる。また、自分の行動が変わります。つまり、良い心とか悪い心といった、「良い」とか「悪い」とかという表面的な言葉ではなく、具体的に広く、高く、深く、暖かい心を持つことによって、自分のものの見方がどう変わるのか、自分の行動がどう変わるのかを是非4月から考えてほしい。そして、4月からそういうことを考えるための準備をこの3月にしてほしい。お家に帰って聞いてごらん。「お父さん、心って何。」「お母さん、心って何。」人は、それぞれその人の持っているそれぞれの心のイメージがあると思います。でも、それを考えたことがないと、心とは何かと問われたときに答えられないと思います。だから、私は諸君らに、それを考えることを求めたいと思います。


2013年3月16日 須磨学園 学園長 西 和彦