誓いの言葉


 満開の桜に包まれ、大きな期待と不安を胸にこの須磨学園に入学したあの日から早3年、今日、私たち7期生は中学校を卒業します。 私たちは、3年間、同じ空間、同じ時を過ごすなかで、力を合わせ、さまざまな学びを通して、ここまで成長してきました。 この成長の陰には、支えてくれる方々の力がありました。 理事長先生、学園長先生、そして先生方は、いつも私たちのことを第一に考え、正しい道を示し、素晴らしい環境を整えてくださいました。 温かい笑顔と愛情で私をいつも見守ってくれる両親にも感謝しています。 ここで出会えた友達は、かけがえのない、生涯の友となるでしょう。 毎日の学校生活が楽しくて、私は幸せ者なのだということを実感できるのもすべてみんなのおかげです。 この場を借りて、すべての方々に、心から感謝申し上げます。

 思い返せば、たくさんの行事や研修旅行、部活、容赦なくやってくるテストに日々の授業、講座、3年間欠かさず付け続けたTM・PM…。 膨大な枚数にのぼるTM・PMを1枚1枚見返すと、がむしゃらに走り続けたこの三年間が、本当に濃密な時間だったのだということをしみじみと感じます。 幼い私たちに叱を入れ、須磨学園の生徒としての振る舞いを叩きこまれたJ1のオリエンテーション。年々レベルが上がっていくサマーキャンプ、ウィンターキャンプ。 ぶつかったこともあったけれど、クラスが一つになれた合唱コンクール。平和研修。そして、二度の海外研修…。 急速な発展を遂げるアジアでは、人々のエネルギーを感じ、負けていられないと危機感を抱きました。 アメリカでは、世界をリードする企業や大学を訪れ、先端技術やそのスケールの大きさに圧倒されました。 4度にも渡る海外での学校交流では、自分の思いを伝えられないことがもどかしく、もっと英語を学びたいと思いました。 その一方、国や言語が違えども、その垣根を越えて共に楽しみ、笑いあうことが出来るということも知りました。 自然を肌で感じ、人々と出会い、生の芸術を見て、世界を感じ、感動しました。 これらの経験は、単なる教養以上に、今後の私たちを形成してゆくことになるでしょう。

 この3年間で受けた先生方の授業や研修旅行を通して、世界には人々が向き合わなければならない問題が山積していることを知りました。 TPP、金融やエネルギー問題、大気汚染、領土問題、宗教的摩擦による紛争、そして震災の復興…。 私たちは携帯を持っています。パソコンを持っています。さまざまな情報を容易に手に入れることができます。 あふれる情報の中から必要なものを選択し、活かす力が必要だと感じています。

 今、私にはやりたいことが、沢山あります。 もっともっと知りたいことが、沢山あります。 4月からはもう高校生です。 同じ須磨学園での生活ですが、今までとは違います。 確固たる意志をそれぞれが抱き、それぞれの目標に向かい、私たちは仲間とともに進んでいきます。 困難はつきものです。本当は怖いけれど、最高の友達、いつでも頼れる先生方、そしていつも温かく見守ってくれる両親がいれば、何でも乗り越えられるような気がします。 “to be myself,…” なりたい自分は自分でつかむものです。

 教室の窓から望む須磨の海が美しく霞み、日一日と暖かくなる日差しとともに、春の訪れを感じます。 皆で信頼し、助け合えば、一人ひとりの力は、いくらでも大きなものになるでしょう。努力を惜しまず、さらなる高みへと歩みを進めてゆくことをここに誓います。

 以上をもちまして、私たちの、誓いの言葉とさせていただきます。

2013年3月16日 卒業生代表 松本 直子