理事長 式辞


 中高一貫7期生のみなさん、中学ご卒業おめでとうございます。

 須磨学園中学校に入学されて3年間を過ごされて、その中で色々なことがありました。入学式、長崎研修旅行、サマーキャンプ、ウィンターキャンプ、体育祭、文化祭、アジア研修旅行、アメリカ研修旅行、色々な思い出があると思います。様々な記憶が蘇ってきているのではないかと思います。どうかそれを大切にしてください。

 この中学校一貫の卒業式というのは、独特な趣があります。何のためにするのか。この卒業式は、区切りの時です。幼かった自分からの卒業の日でもあります。優しかった先生との別れの時でもあります。区切りを迎えたみなさんに申し上げたいことが2つあります。

 1つ目。中学校のときは手取り足取り教えてくださった先生がいらっしゃいました。そこから卒業しましょう。待っているだけではだめです。向こうからやってきて教えてもらえること、当然だと思っておられる方がいらっしゃるかもしれません。与えられるもの、与えられてきたものは、みなさんの身についていますか。本当にみなさんは与えられたものを吸収して学んだのだろうか、学んできたのかということを、ときどき心配になって眺めていました。待っているだけではだめです。そのことからも卒業してください。じゃあ、どうすればいいのか。自分から聞きにいくことです。もう教えてもらってはだめなのか。そんなことはありません。自分から聞きにいってください。分からないことがあれば、待っていて教えてもらえないからできないのではなく、これが知りたい、こういうことが学びたいということがあれば、自分から一歩を踏み出してください。ものでもなんでもそうです。与えられたものよりも、自分で探して求めて手に入れたものは、自分のものになります。知識も知恵も思いも一緒です。

 2つ目。考えてくださいということです。今まで失敗したとき、上手くいかなかったとき、叱られたとき、けんかしたときは、感情の赴くままにそのときを迎えたのではありませんか。感情の赴くままに行動したり対応したりしたのではないですか。そのときに、卒業を区切りに考えることをしてください。感情の赴くままではなくて、なぜこういうことになったのか、自分はどうしないといけないのか、どうすればよかったのか、何が必要なのか、考えることはとても大事です。自分のことを考える。このことはとても大事です。でも、同じように大事なことはもう一つあります。相手の立場に立って想像力を働かせて考えること。イマジネーションの問題です。相手が何をどのように思ってそういうことをしたのか。そういうことも含めて考えることです。これは、とてもとても難しいことです。考えることをして次に何をするのか。自分で考えて出た答えが正しいのか、正しくないのか。それをお父さんやお母さんや先生や周りの大人に聞いてください。まわりのおとなはもしかしたらみなさんの求める答えを持っていないかもしれません。そんなこと知らないよと言われるかもしれませんが、自分で考えて出した答えは意味がある。間違っていても意味があると思います。私はそのような学びをこれから皆さんに期待したいと思います。

 中学校卒業おめでとうございます。


2013年3月16日 須磨学園 理事長 西 泰子