学園長訓話


 みなさんおはようございます。

新年のお話をしたいと思います。今日、この後、諸君らは書初めをすると思います。今年の私の書初めのテーマ、つまり諸君らに言いたいことが一つあります。それは、「焦らないで毎日を過ごしてほしい」ということです。入試が近くなってきて、焦っている人が多いと思います。焦れば焦るほど、指も頭も空回りして思ったような結果が出ません。では、どうしたらいいか。それは、「信念を持つ」ということだと思います。

 「信念を持つ」という言葉について少し考えてみたいと思います。「信念」というのは、「信」という字と「念」という字を書きます。この「念」という字をよく見ると、「念」は「今の心」と書きます。つまり、「信念を持つ」という言葉は「今の心を信じる」ということになります。それでは、「今の心を信じる」とはどういうことなのか。それは、自分が今考えているなりたい自分、今考えている自分の夢、自分の目標、それがとても素晴らしいものであるということを自分で本当に信じこむことです。それができたら、非常に素晴らしいことではないでしょうか。大変立派なことではないでしょうか。
 信じるということですが、信じるためには必要なことがあります。「信」という字は、「人」に「言」と書きます。「信じる」ということは、信じることを人の言葉でまず書いてみる、人の言葉で対象を描いてみない限りそれを信じることはできないということです。つまり、「信念を持つ」ということは、今自分が思っている自分の心を言葉にして書いてみる、そうすることによって信じることができるということです。信じてどうするのか。信じた次にとりかかることは、PM(プロジェクトマネジメント)です。

 PMを自分の信じた夢、自分の信じた目標に対してやってみる。ここで新しいヒントを諸君らに言います。普通、PMは生活のすべてのことを100ますを使って表しています。そうではなくて、たとえば受験であれば、受験科目1つで100ますを使う。数学の100ます、英語の100ます、国語の100ます、物理の100ます、世界史の100ます、そのような感じで今までの100ますよりももう少し細かくやってみる。これが、今年の新しいヒントです。
 金曜日の一時間目にPMをやっていて、ときどき詰まることがあります。PMをやっていて詰まったらどうすればいいか。今までの学校は「目の前に行き詰ったときに努力しろ」と教えてきました。私は諸君らに行き詰ったら努力しろとは言いません。私は行き詰ったらどうしているか。休んでいます。勉強していて、仕事をしていて行き詰ったらどうしているのか。寝ます。「水飲んで寝る。」といつも言っていますが、行き詰ったら水飲んで寝る、休むのです。でも、朝まで寝てしまう人が本当にいるでしょうか、そんなことはない。30分か1時間休むと、携帯を充電したみたいにまた元気がでてきて、さあもう一回やってみようと思うのではないでしょうか。だから、行き詰ったらさっさと休むということをしてください。
 その後、PMが終わったらどうするのか。TMをやるわけですが、諸君らは須磨学園のTMの紙に従ってTMをやっていると思うので、30分単位のTMをやっていると思います。この30分単位のTMではなく、特に受験生の諸君は15分単位のTMでやってみる。そうすると、毎日のアクションの数が2倍に増えます。一日24時間のうち、寝る時間、ごはんの時間、おふろの時間などを8時間とすると、一日16時間諸君らは自由に使える時間があります。逆に言うと、一日16時間しか使えない。この16時間を30分刻みで使っていたら一日は32コマしかない。でも、15分単位にすると、64コマになります。64コマを使うと、どんな小さなことでもできる。

 全体を100ますにするのではなくて、トピックスごとの100ます、科目ごとの100ますにする。それから30分単位ではなく15分単位のスケジュール刻みのスケジュール管理をする。これがセンター試験や入学試験に向けた最後の追い込みを焦らないで過ごすためのヒントではないでしょうか。もちろん、試験だけではなくて、中学生から高校一年生、高校二年生の色々な活動に生かしていくことができると思います。焦らないで、上手に時間を使ってよく休んで持てる力をフルに発揮してもらいたいと願っています。



2013年1月5日 学園長 西 和彦