学園長 訓話



 一学期の終業式にあたり、三つのことを話したいと思います。

 一番目は、いじめについてです。いじめの問題が今報道されていて、非常に大きな問題になっています。須磨学園は、いじめに対してこれまでも非常に厳しい態度をずっととってきましたし、これからも変わりありません。みなさんには、いじめに対してどういう風に取り組んでいくのかについて、説明をした書類を配って、それを読んで、内容を理解して、署名をして本日提出してもらうことになっています。これは、いじめについての須磨学園の取り組みについてもう一回理解し確認してもらうためです。
 これを配りましたら、先日保護者の方から学校にご意見のメールがありました。そのメールというのは、『「即日退学にする」ということはあんまりにもひどくないか、そんなことになったらいじめた人にも悪いから、なかなかいじめられたということが言いづらい。』ということでした。このご心配はごもっともという感じがいたしますが、私が「即日退学」と言っているのは、「悪いということが確定したら即日退学である」ということです。ですから、いじめの実態がどうであったかということに関して、いじめられた方からの訴えに基づいてどうだったのかを調べますし、いじめたと思われる人についても色々な聞き取りをしたり、また周りにいた人からどうかということを聞いたり、そういうことを学校はもちろん直ちにします。直ちにして、これがいじめであるとはっきりした場合、即日辞めていただく。そういう人は退学になっても仕方がないのではと思います。これが悪いと私は全然思っていません。たとえ義務教育の中学であっても、須磨学園は私立の学校であるから、どこか他の学校に転校してもらう。高校の場合は直ちに退学してもらう。これがいじめを止める唯一の方法ではないかと思っています。
 みなさんの中には今までいじめられた人がいるかもしれません。また、今まで他人をいじめたことがある人がいるかもしれません。いじめも手口がどんどん巧妙になって、いじめた証拠を残さないようにいじめることもあると思います。しかし、いじめはどんなものでもよくない。まず、いじめてはいけない。いじめられたらどうすればいいか。それは、いじめられたことを言うことです。いじめられたことを言わない限り、いじめはなくならない。悲しいことですが、それが世の中の常だと思います。

 二つ目は夏休みについてです。今日が終業式で、明日から夏休みということで、8月いっぱいは夏休みです。世間的に夏休みといわれている8月、それを夏休みでないというと、須磨学園は夏休みのない学校といわれるので、大きな声で夏休みでないとは言えません。しかし、私は8月というのは、一学期のパート2、一学期の後半だと思っています。何も計画しないで、毎日PMもTMもしないでごろごろ寝ていたら、8月はただの休みになります。8月が休みになってしまったら、何もしないうちに終わってしまう。気が付いたら8月二十何日になって、宿題もほとんど手をつけてなくて、ああどうしようとなる。8月に何もしないでごろごろする日は、どうかみなさん日曜日だけにしてください。日曜日はゆっくり休んで、元気になるように体を修復する日です。その他の日、月曜から土曜までは家族でお出かけしたり、旅行したりする日です。8月は自分で自由に時間割を作ることが許された月だと思っています。だから、PMとTMを活用して、自分だけの8月の時間割を作って自由に創造的に課題をしっかりとやって、計画的にしっかり遊んでほしいと思います。
 夏休みの勉強ですけれども、受験をする諸君は別ですが、受験をしない中学1年から高校2年までの諸君らは、まず得意科目の勉強を最初にしてほしい。得意科目をぜひ全部キープしてほしいと思います。理科が得意、英語が得意、理科と英語が得意であり続けるための勉強、これは比較的楽にできます。
 その次にやってほしいのは、普通科目の勉強です。普通科目をちょっと頑張る。そうすると普通科目が得意科目になります。普通科目を得意科目にするのは、一つだけでいいです。今年の夏休みに一科目、普通科目を得意科目にする。それが英語だったり、それが数学だったり、それが社会だったり。一人ひとり違うと思います。
 最後に、不得意科目を一つ選んで、その一つの不得意科目を普通科目にする。得意科目にはしなくていいです。つまり、得意科目を全部守るということと、普通科目を一つ得意科目にするということと、不得意科目を一つ普通科目にするということ。そのための勉強の仕方を自由に考えて、一学期のパート2でしっかりやってほしいと思っています。

 三番目の話ですが、体調管理についてです。先日、熱中症で亡くなった人がおられました。体温が41度まで上昇して、その日の気温が37度だったそうです。そのお家はエアコンが動いていなかった。エアコンは体に悪いと言われてきましたけれども、暑い日にはエアコンが必要です。また、熱中症について、どういうことをすれば危ないかについては、書類を作ってもらって配ってみなさんに注意を呼び掛けています。体育祭でも帽子をかぶって直射日光に当たらないという形でスポーツをするように再三注意してきました。熱中症に気を付けてほしいと思います。
 でも、気を付けるのは熱中症ではありません。次に気を付けないといけないことは、冷房病です。クーラーをつけてパンツだけはいて裸で寝る。こうするとおなかが冷たくなって下痢をします。冷え過ぎもよくありません。
 それから、食中毒にも気を付けてほしいと思います。普通ではありえないようなものが、すごい速さでこの熱のために腐ります。人間の体の中は摂氏37度ですけど、気温も37度。ということは、細菌が一番繁殖しやすい温度に室温がなっている。だから、みなさん、食べるものに気を付けてください。今までの常識で、まさか腐っているはずがないと思ったものが腐っていて、それを食べてしまう。そのせいで、間違いなく三日は無駄になります。三日間、おなかが痛くて熱をだして寝ている。そんな夏休みに誰もしたくないと思います。暑すぎるということに注意して、寒すぎるということにも注意して、食べるものに気をつけて、この8月を元気に愉快に意義深く過ごしてほしいと思います。

2012年7月28日 学園長 西 和彦