理事長 式辞


 桜の花が、みなさんの入学を待っていたかのように咲き始めました。須磨学園中学校9期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんが入学していらっしゃる今日の日を待っていました。保護者の皆様、御子息御息女のご入学のお祝いを申し上げます。これからの6年間、皆さまの御理解と御協力なくしては須磨学園の教育は成立いたしません。どうぞよろしくお願い申し上げます。来賓ならびに関係者の皆様、御多忙のなか、御臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 さて、新入生の皆さん。今日、この中で何人の人がお家の人に起こされずに、自分で起きて、自分で準備をしてここにいらっしゃったことでしょう。挙手は要りません。では、中学生になるにあたって、私が皆さんに求めることをお伝えします。
 1つ目は、皆さんの自立です。今から始まる中学校生活の中で、自分の身の回りのことを自分ですることを求めます。今まで皆さんが受験勉強で忙しいとき、身の回りのことをほとんどすべてお家の方にやってもらったと思います。塾から帰ってきて、テーブルの前に座るとあたたかいごはんができていて、お風呂もわいている。皆さんは入るだけ。皆さんは勉強だけしていればよかった時期があったでしょう。しかし、中学生になった今日からは変わりましょう。自分のことを自分でするように心がけてください。この時期を逃すと、大人になってから困ります。

   2つ目は、当たり前のことを当たり前にすることです。須磨学園は決して自由を謳歌するような学校ではありません。どちらかというと厳しい。制服もあります。制服の着方にも決まりがあります。制携帯もあり、ルールを守っていくことが求められます。小学校にはなかったような校則もあります。でも、それらのことは社会に一歩でると、実は当たり前のことばかりです。挨拶をするとか、ルールを守るとか、人の話をきちんと聞くとか。特別なことを求めているわけではありません。

 3つ目は自分の頭で考えて決めることです。みなさんはどういう自分になりたいのか、そのためには今、何をしなければならないのか。自分は今これからどうするべきなのか。それぞれに考えてください。
 極端な話をします。明日、もしかすると私たちは東日本を襲った災害と同じような状況に見舞われるかもしれません。その時、あなたはどうしますか。その場面に遭遇しなければ分からない。経験してないから分からない。教えてもらってないから分からない。答えは大人である私たちにもよく分かりません。しかし、ただ机に向かってする勉強だけでは足りないということです。私たちのこの国が将来どのようになっていくのか。実は大人である私にもわかりません。正解はないかもしれません。
 だから、まず自分で決めたことをやってみてください。誰かが決めたことや、人から与えられたことをやらされるだけではなく、自分で決めたことを自ら進んで行ってください。私は、自分にとって一番良い決断とは、自分自身が決めることだと考えています。他の誰のものでもない自分の人生。その自分の人生における決断をこの6年間の生活において、皆さんはなさることになります。主体的に行ってください。失敗することもあるかもしれません。大丈夫です、どんな人でも失敗します。くじけないでください。もちろん、程度の差はありますけれども、失敗しない人などいません。そして、失敗することは決して悪いことではありません。むしろ、私は「良かったね。失敗したのが今でよかったね。」と申し上げたい。「守られた環境にいる今で良かったね。」とお伝えしたいです。友達との関係で失敗することもあるかもしれません。そのとき大事なことは、なぜ失敗したのか、それを考えることです。そして、2度目の失敗をしないように心がけてください。2度目の失敗をしてしまっても大丈夫です。3度目の失敗をしないように気をつければいいです。失敗を恐れず、間違いをすることを恐れずに、ひるむことなく、果敢にいろんなことにチャレンジしてください。

 皆さんのこれからの活躍を期待して私の話は終わります。





2012年4月7日 理事長 西泰子