学園長 式辞



   須磨学園高等学校にご入学おめでとうございます。人はそれぞれ、一人一人この世にもって生まれてきた使命があると思います。その使命は、一人一人違います。医者になる人、法律家になる人、研究者になる人、教員になる人、世界を相手にビジネスをする人、政治家になる人、官僚になる人、一人一人目指すものは違うはずです。一人として、同じ人はいません。でも、一人一人違う目的、目標を、専門という形で社会に役立たせることは、皆同じです。こういう生き方を是非考えてほしいと思います。だから、君たちの心にきっとある自分の使命を探し出して、見つけて、その夢を実現してほしいのです。須磨学園のテーマというのは、「なりたい自分になる」ということです。自分の夢を実現する、自己実現であります。この生き方をどこから始めたらいいのか、それは普通は大学を卒業したら、何になりたいかという、今の自分の気持ちを、今の自分の希望を、今の自分の心を信じるということです。この言葉をよく考えてみてください。今の心とは「念」という字です。この「念」を信じるということを「信念」といいます。つまり、信念を持つということは、今の自分の心を信じるということです。自分の今の考えを信じることができればできるほど、自分の思いは、自分の希望は実現に向かってすすんでいき、夢は必ず実現します。君たちの高校の3年間を支える言葉になってほしいと思います。

 十人十色という言葉があります。最近、個性というものについて勉強してきました。私は、十人「十色」ではなくて「七色」だと思います。つまり、人の性格を分けていくと、どうも人は7つくらいの異なった性格をもっている集団に分かれるということです。この7つのタイプを紹介してみたいと思います。どんどんどんどん先に行くタイプ、おっちょこちょこいのタイプ、優等生のタイプ、ど真面目のタイプ、受身のタイプ、引きこもりのタイプ、それから最後にこの6つにあてはまらないというか、全部普通のタイプ。自分はどのタイプかということを見極めることが大切ではないかと思います。そのタイプ別の勉強法、そのタイプ別に生活で気をつけなければいけないことなど、色々あると思うわけです。全然勉強しない優等生は、赤点をとります。引きこもりタイプで、世界史を朝から晩まで勉強すれば、世界史は100点になるでしょう。性格別というタイプは、勉強の結果とはまるで違うということです。

 「なりたい自分になる」ということを書いてある須磨学園の文章を正確に読むと、「なりたい自分になる。そして・・・」という風に書いてあります。これはどういうことかと言いますと、なりたい自分になるだけではまだ完成ではないということです。諸君らが高校を卒業して、大学に行って、大学を出て、社会に出る。そしてそれぞれ個人の夢を実現する。なりたい自分になるということは、そういう自分が希望する仕事に就くということだけではなく、なりたい自分になった自分と社会との関係をどう確立していくのかということになります。社会にでてそれぞれが学んできた専門を生かした仕事をする。その仕事によって、社会の中で自分がどういう役割を担っていくのかということを考えていくことが大切であると思うのです。それが、自分と社会との関係を考えるということになります。

 高校時代の教育と活動がその人の性格を形作るといわれています。つまり、高校時代をアメリカで過ごせばアメリカ人のようになり、イギリスで過ごせばイギリス人のようになり、ブラジルで過ごせばブラジル人のようになる。諸君らは高校時代を須磨学園で過ごされるわけですから、この須磨学園の高校時代から受ける勉強は諸君らの人生において大きなものであるということを忘れないでください。3年間終わってみて、一番大きく残るもの、卒業式のときに良かったと思えるもの、それは友達です。ですから是非、高校時代に一生の友達を作って大切にしてください。諸君らのこれからの3年間の須磨学園における健闘を心から願っています。  



2012年4月7日 学園長 西和彦