学年部長 挨拶


 6期生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
 中学の卒業は同時に義務教育の終了を意味します。小学校から始まる9年間の学校生活で様々な事を学び経験されてきたと思います。その最後の3年間をともに過ごし、経験から3つのことをお話ししたいと思います。

 最初は「勉強」についてです。 中学校での3年間さまざまな勉強に取り組んできました。勉強は将来役に立つ、あるいは大学入試に供えるという遠い目標と、宿題をこなし、テストで良い点をとるという目先の目標のために日々頑張ってきたと思います。たしかに、将来進路を決める時にどれだけ勉強してきたかということは大きな要素になるかもしれません。また、毎日コツコツと課題に取り組み、テストで良い点数をとることは大事なことだと思います。しかし、それだけではなく、君たちが取り組んでいる学問は、本来おもしろく興味をそそるものがたくさん存在しています。また、長い歴史の間に沢山の人が発展させた深みがあるものなのです。課題やテスト、目標の実現のために勉強をするのではなく、自分が取り組んでいる勉強の中に「おもしろみ」や「深み」を探してほしいと思います。プロのサッカー選手は、サッカーが上手いだけではなれません。サッカーに「おもしろみ」や「深み」を見出し、おもしろくてたまらないと感じた人が、プロになるのではないでしょうか。同様に、夜空の星座の名前をいくら知っていても天文学者にはなれません。天体望遠鏡で土星の輪っかを見た時の感動、経験、あるいは宇宙の仕組みに心が動いた経験、そのような感動、経験が天体学者を生むのではないでしょうか。その分野で本当に力を伸ばすためには「おもしろみ」や「深み」に心がふるえるような感動、そして「好きになること」が必要なのではないでしょうか。

 君たちが取り組んでいる日々の勉強においても、おもしろみや感動を覚えた人が、結局伸びるのです。それでは、おもしろみを探し、心がふるえるような感動を見つけるためにはどのようにすればよいのでしょうか。宿題やテスト勉強など、学校や教員が敷いたレールの上を走っているだけでは見つけることが難しいと思います。時には、そこから逸脱することが必要になります。宿題、テストには関係のない勉強、無駄にも見える勉強が、本当は勉強そのものを伸ばすことにつながるように思えます。そのような勉強もしてください。

2つめは「大人に学ぶ」ことについてです。今日は、3年間の中学生活の終え、高校へ進学する筋目の日です。その一方、人生においてみなさんの年齢は、子供から大人への移行期になります。体も、心も、頭も、子供から大人に成長し変化する時期です。言い方を変えれば、これまで子供として色々な経験を積んできましたが、大人としてはスタートラインに立った1年生です。純白の紙と同じです。そこでみなさんに伝えたいのは、大人として学ぶことがたくさんあると言うことです。大人はどのように挨拶し会話をしているのか、大人はどのように物事を考えているのか、大人はどのように振る舞っているのか。社会では何が大事なのか。何をしてはいけないのか。そのようなことを高校生なりに学んでいく必要があります。では、どのようにして学ぶのでしょうか。皆さんの教材は、身の回りにたくさんあります。周囲の大人、出来事、書物などいたるところに存在しています。大事なことは、学ぼうとする気持ちです。これがなければ周囲の大人や出来事は、君たちの横を素通りして消えていくだけです。周囲に敏感になりましょう。油断なく学ぶものを見つける目を持ちましょう。そして、大人の引き出しを増やしていってください。  


2012年3月19日 学年部長 下地 英樹