学園長 式辞


 今日は卒業の日と言うより、自分がこれまで教育を受け続けてこれた感謝の日だと思います。君たちが君たちのご両親に感謝をする日です。もちろん中学は義務教育ですから行くのが当たり前です。しかし、君たちは私立の中高一貫の学校に通えました。ですから、今日自宅に帰ってありがとうをお父さんとお母さん、おじいさんとおばあさん、その他の家族に伝えてほしいと思います。ここに日の丸が掛けてあります。なぜ、日の丸が掛けてあるのか。それは、中学校の教育が日本という国家の定めた義務教育だからです。日本は、国の法律で中学校の教育を全員が受けなければいけないということが、国民の義務と同時に権利として定められています。

 今日から、諸君らは大人だと思います。正確に言うと、半分大人で半分子供です。では、どこから大人になるのか。それは、自分が何なのだろうかということに気付いた人が大人になるということです。自分は何なのか、自分は誰なのか、自分はどこから来たのか。つまり、自我に目覚めるということが大人の条件です。
 もう一つ、周りの人に対する思いやりが持てれば大人になったということです。他の人との関係性において、生きているのが大人だからです。

 君たちが選んだ須磨学園は、高校入試のない中高一貫校ではなく、毎日確認テストがある学校です。西洋に目を向けている学校ではなく、世界に目を向けている学校です。受験勉強だけの学校ではなく、教養の6科目、音楽、美術、技術、家庭、保健、体育と総合の4科目、ICT、LCT、PM、TMという教養と総合でも厳しい学校です。カンニングをしたら退学にならないで、毎日その科目の課題をさせる学校です。けんかやいじめがあっても知らんぷりではなくて、いじめた相手に許してもらえないと退学になる学校です。諸君らは、それが当たり前だと思って3年間を過ごしてきました。それは、これからも変わりません。

 今まで諸君らは、一日一日が楽しかったかもしれません。一日一日が辛かったかもしれません。でも、一日が終わったら次の日がくる。諸君らは、今日という日に集中する生き方をしてきたと思います。
 今日の話しの最後のテーマは、諸君らに時間というものを感じてほしいということです。須磨学園で勉強する時間は、後どれくらいあるのかを感じてほしい。3年前に諸君らが入学したあの日から、同じ時間しか残っていません。この3年間は、確かに長かったです。長かったけれどあっという間でした。これが諸君らの気持ちだと思います。これからその時間と同じ時間が諸君らにはある。同じ時間しか諸君らにはない。だから、これからの高校卒業までの時間を大切に使ってほしいと思います。

 卒業おめでとう。


2012年3月19日 須磨学園 学園長 西 和彦