例年になく厳しい寒さの中にも、日ごとに春の暖かさが感じられる季節となりました。三年生の皆様、本日はご卒業おめでとうございます。在校生一同、先輩方の晴れの門出を心からお祝い申し上げます。

　さて、先輩方は卒業されようとするいま、何を思い出されるでしょうか。積み重ねてきた努力が報われ合格を勝ち取った瞬間、仲間とともに努力し勝利を喜びあった瞬間、体育祭や文化祭でよりよいものを作り上げようと夢中で取り組んでいた瞬間、合唱コンクールで心を一つにした瞬間、ふと見下ろした夜景の美しさ、見上げるようにのぼった坂道、当たり前のように階段を上り、当たり前のように教室に入り、当たり前のように友人と語り合う日々・・・そんなさまざまな時を積み重ねてきて、先輩方は今日卒業されます。

　いま私達後輩が願うことは、先輩方の努力が報われ、すばらしい人生を歩んでいかれることです。私が知っている先輩は尊敬できる方ばかりでした。朝早くから休まず練習を続ける姿、夕方遅くまで寒い廊下や教室で勉強している姿、雨の日も雪の日も走り続けている姿、また体育祭で後輩のために丁寧に踊りを教えてくださる姿、そんな後ろ姿に私は惹きつけられてきました。それはいつしか自分の目標となり、行動の指針となりました。

　もちろん、先輩方もこの三年間、何事もなく順風満帆に高校生活を過ごされたわけではないでしょう。テストの成績で悩み、試合に負けて涙し、人間関係で苦しみ、その都度よりよい方法を考え、乗り越えられてきたのだと思います。何事もない三年間ではなく、そうした悩みや苦しみを乗り越えてつないできた三年間だったと思います。

　私達も残された高校生活の中で、同様に勉強や部活動、人間関係でつらいこともあるでしょう。しかし、先輩方が乗り越えられてきたように、私達も苦難を乗り越え、人間として一回りも二回りも成長していきたいと思います。

　先輩方から見れば私達はまだまだ頼りない部分もあるでしょう。しかし、謙虚に学び、先輩方が築いてこられた伝統や実績に負けないぐらい努力を積み重ねていきます。先輩方も機会を見て、また母校にお立ち寄りください。そして、人生の先輩として大学生活のことや高校生活の間にしておくことなど、いろいろ教えてください。

　最後になりましたが、卒業生の皆様が須磨学園で学んできたこと、ＰＭＴＭの技術や各研修旅行で得た見識、学業やクラブ活動という真剣な努力の中で得られたことを活かして、大学に進んでも、社会に出られても、大きく羽ばたいてご活躍されることを在校生一同心よりお祈り申し上げます。