理事長 式辞



 今年の冬の寒さは厳しく、春を遠くに感じる冬でした。
 今日の日を待っていたかのように、昨日あたりから春の気配を感じることができるようになりました。先ほど卒業証書を授与された共学十一期生、ならびに中高一貫三期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 保護者の皆様、立派に成長された子どもさんの門出にお祝いを申し上げます。
また、この間の私どもへのご理解とご支援に厚く御礼を申し上げます。 来賓の皆様、ご多忙の中ご臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 さて、卒業生の皆さん、短いようで振り返ると色々なことがあった長い長い年月でした。
 この六年、あるいは三年の間に皆さんは精神的にも肉体的にも大きく成長されました。 この時期の皆さんの成長に関わることができたことは、私たちにとっても大きなよろこびでした。ありがとう。

 大人は、若い人に対して「君たちの未来は輝いている」とか、「可能性は無限大にある」という夢や希望に満ち溢れたことを言います。 私は、それらの言葉に違和感をもつ一人です。「この時代にそれはないだろう」と。 長引く経済不況、就職難、そして昨年の三月十一日に東日本をおそった大震災、原発問題。 社会には困難が山積みされています。 でも、それでは身も蓋もありませんので、私は条件つきで申し上げたいことがございます。 何もしないで輝かしい未来は開けません。可能性を広げることはできません。

 努力の積み重ねを馬鹿にしないでください。こつこつと積み上げる努力の上に、未来の扉は開かれるものだと思います。
 明確な意志をもってこそ目標に近づくことができる。そして可能性は広がるのだと。待っている限りは向こうから何もやってきません。 どうか失敗を恐れずにあらゆることに果敢に挑戦してください。 そしてそのための努力を積み重ねていってください。 私は、人が一番学ぶのは、失敗した時だと思っています。 自分が失敗を重ねてきたからそのようにいうのかもしれませんが。 失敗した人は、二度目の失敗をしたくない。もう痛い思いをしたくない。 それで、なぜ失敗したのか考えます。そして、どのようにすれば次の失敗を回避できるか、・・・失敗回避というと消極的ですね。・・・次はどうすればいいか、を考えます。

 自分の頭で考えること。これはなかなかいいことです。  誰かに決めてもらった自分のとるべき行動、誰かに決めてもらった自分の進路、だれかに決めてもらった結果、失敗をすると、失敗を誰かのせいにできるから自分へのダメージも少なくていいのかもしれませんが、それでは自分自身があまり学びません。
 誰かに教えてもらった正解ではなく、自分の頭で考えて、答を絞りだすこと。結論を出すこと。 これは、稚拙であったとしても意味がある答だと思います。 もちろん、知識はないよりあるほうがいいのは明らかです。 でも知識がなくても調べればいいのです。または、だれかに聞けばいい。 大事なことは自分自身が納得して答を出す作業です。 これからの皆さんの益々のご活躍をお祈りしています。



 



2012年3月3日 理事長 西 泰子