学園長挨拶


 今日は89周年の記念日ですが、去年、100周年でコンサートホールと講堂を作りたいということをお話したことがあります。そうしたら何を言っているのかというご意見が有りまして、そのようなお金があったらちゃんとした理科室をつくって欲しいと言われました。そして夢をグレードダウンさせて、100周年に向けてコンサートホールが駄目なら、コンサートグランドピアノを一台購入したいと思いました。そしてピアノを探し始めました。今日、皆さんの前にあるこのピアノは、1922年に作られたピアノです。スタインウェイというピアノの会社があります。世界で有名なコンサートホールには必ずスタインウェイピアノがあります。世界で一番優れたピアノです。その世界で一番素晴らしいピアノの中で、1922年つまり須磨学園が生まれた年に作られたピアノが欲しいと世界中を探しました。と言ってもインターネットでグーグルしただけですが・…。なんと驚くべきことに探しもとめていたスタインウェイのピアノは神戸のピアノ屋で見つかりました。その神戸のピアノ屋にスタインウェイを見に行った時に、私はこのピアノが100年後に須磨学園に来る為に作られて神戸に来ていたのではないかと思い込んでしまいました。このピアノは今から89年前に作られて、ごく最近リノベーション、つまり古いところを修理して新しいピアノに変わりました。
 最近リノベーションしたというのは須磨学園高等学校中学校と似ていますね。今日、須磨学園高等学校の卒業生でピアニストの比良君がショパンの曲をオーケストラと一緒にスタインウェイで弾いてくれる。これが本当に楽しみです。100周年まであと10年ありますからお金を貯めるなり、私の考えに賛成してくれる方にご援助頂くなり、色々な方法でこの夢が実現できるように取り組んで行きたいと思います。是非そのようなことになればみなさんに協力をお願いしたいと思っています。
 学校というのは教育するのが一番大きな使命ですが、いつも聞く愚痴は設備が揃っていないから勉強出来ないということです。設備がなくとも勉強できるという人もいます。つまり自助努力、本人の努力と環境作りという二つの大きなテーマが学校に与えられた課題だと思っています。学校が取るべき対応はなにかと言うと、それは全力を挙げて環境の整備をするということです。環境の整備を全力を挙げてするから、是非その環境で学ぶ諸君達には最大の努力を払って勉強にスポーツに音楽に、美術に取り組んで欲しいと思います。
 今日は日本の誇る大阪交響楽団と89才の生まれ変わったスタインウェイの音を堪能して欲しいと思います。


2011年11月8日 学園長 西 和彦