学園長 式辞



  須磨学園中学校に、御入学おめでとうございます。 私のお祝いの話は、三つのお願いです。

 一つ目のお願いは、須磨学園中学校に入学された皆さんは、ほとんどすべての皆さんが、塾に行っておられたと思います。小学校の4年生、5年生から塾に行く。勉強は塾でして、塾が終わったら、親に迎えに来てもらって家に帰って、お疲れ様。これを3年ぐらいすると、家は勉強する所ではなくて、寛ぐところになってしまいます。ご飯を食べて、お風呂入って、寝るところになってしまいます。メシ・フロ・ネル。塾に行く限り、この状態を避けて通れはしません。では、そうなってしまった諸君らは、どうしたらいいのか。お家で勉強ができない人は、とりあえず9時まで学校に残ってもらって、塾の代わりに、学校で勉強してもらうことにしようと思っています。お家で勉強できる人はしなくていいです。しかし、これは本質的な解決ではありません。いかにして家で自発的に勉強する習慣をつけるかということが一番大切です。お父さん、お母さん、お家で居られるとき、ある時間は勇気を持って、テレビのスイッチを切って、携帯も取り上げて下さい。お子様がお家で勉強する習慣をつけるようにしてください。お願いします。

 二つ目のお願いは、現代はエレクトロニクスの時代です。だから、お家にいて諸君らが毎日使うのは、携帯であったり、テレビであったり、インターネットであったりします。もちろん、電話もインターネットも便利なものですから、電話やテレビやインターネットは、我々にとって、もはやなくてはならないものになってきています。
 ここでひとつ覚えていてほしいことがあります。電話とテレビとインターネットより、もっと大切なものがあります。それは、「電話をかける事」ではなく「手紙を書く事」です。それは、「テレビを見る事」ではなく「新聞を読む事」です。それは、「インターネットを見る事」ではな「本を読む事」です。自分の手で毎日新聞をめくって読んで、読書をする、そういう中学生になってほしいと思います。これが、二つ目のお願いです。

 三つ目のお願いは、私は須磨学園中学校を楽しい中学にしたい。みなさんに、楽しく勉強をしてほしい。楽しさとは何か。楽しさとはひとつしかありません。楽しさとは、好きなことをすることです。では、嫌いな勉強はしなくていいのか。決してそんなことはありません。嫌いな科目は、是非、好きな科目にしてもらって、取り組んでほしいと思います。ある科目を嫌いと思った瞬間に心のシャッターが閉まり、その科目から取り残されてしまいます。
 では、嫌いな科目をどうしたらいいか。嫌いな科目を好きになるための味方の人がいます。それが、先生です。近くにいる先生にぜひ聞いてほしい。「先生、数学を好きになるにはどうしたらいいの?」「先生、歴史を好きになるにはどうしたらいいの?」嫌いな科目を好きになる、それが中学校を楽しく過ごす秘訣だと思います。諸君らは、そのまま無試験で高校に進学します。高校受験という大変なゴールがない諸君らに、是非、その分、中学生活を楽しんで送ってほしい。その為には、嫌いな科目をなんとかして好きな科目にしてほしい。
 それが、私の三つ目の切なる願いです。




2011年4月2日 学園長 西和彦