学園長 式辞


 
 卒業生の皆さん、保護者、御家族の皆様、須磨学園高等学校ご卒業おめでとうございます。

 皆さんが中学に入学してから6年、高校に入学してから3年、勉学を果たし、今日、ここに無事に卒業式を迎えることができたことを、学校法人須磨学園の役員、教職員全員で喜びたいと思います。

 今日は、この6年間、3年間に、折に触れ皆さんにお話してきたことの中から、改めて大切だと考えることを取り上げて、関連付け、私の話しにさせていただきます。

 テーマは3つのTです。

 最初のTは、テンペルチュア(温度)です。
 昨日も、今日も、寒かったけど、毎年卒業式が終わると、須磨学園に春がやってきます。冬がずっと続かないということを、我々は経験で知っています。もうすぐ春です。 我々は、普段から心の持ち方が問われています。そこで最初に申し上げたいことは「どうか心を広く、心を高く、心を深く」持ってくださいということです。XYZという三次元的に大きな心をもった人になってほしいと思います。そして、大きな心を持った人に、次に求められることは何か。大きな心に必要なものは、心の温かさです。心が大きくても、氷のような心を持つなんて、人として悲しすぎます。温度が大切です。

 2番目のTはタイム(時間)です。
 皆さん、夢を持ったあとにしなければならないことがあります。それは、夢に日付を入れることです。それは、いついつまでに、この夢を実現したいと自分の中でひそかに決める決心のことです。「日付の入った夢」のことを「人生の目標」と呼びます。この目標をひとつ一つの小さな具体的な行動として、書き出し、それを日々実行してゆくことを、皆さんは在学中にタイムマネジメントとプロジェクトマネジメントで学びました。この学んだことを、これからも続けていって欲しいというのが、私のお願いです。
 思い返してみると、私の55年間の人生のうち、タイムマネジメントして過ごして20年を超えました。自分が夢見た人生の目標は、いつも自分の夢よりも大きな形で実現して来ています。大きなピンチの後には、いつも必ず大きな飛躍や展開がありました。人の人生の限界は、その人の持つ夢の限界そのものであって、その人の夢を超えることはありません。出来ると信じるから実現するのであって、出来ないとおもっていると何も出来ません。だから皆さん、夢を持つならなるべく大きい夢を持ってください。そして、それを毎日、自信を持って思い切って大きく拡大修正していってほしいのです。

 3番目のTはトラスト(信念)です。
 失敗を恐れないでいろいろやってみる。そのときに一番大切なことは、自分を信じるということです。つまり、「信念を持つ」ということです。信念とは、念を信じると書きます。念という字は、今の心と書きます。つまり、自分の今の心が思っていることを信じきることが、信念を持つということです。例えば、全国大会に出場できた男子駅伝。必ず出るのだと思っていると、やっと出場できるようになりました。次は、必ず優勝するという信念を持ってください。自分を信じることが出来れば出来るほど、大きな力が出てきます。どうか皆さん、信念を持って、夢の実現に、失敗を恐れず進んでいって下さい。

 若いときは、色々なことを乗り越え、成し遂げることの出来るエネルギーに満ち溢れています。どうか皆さん、人生のあらゆる科目にチャレンジをして、21世紀の日本、世界において、なりたい自分になってください。

 蛍の光を歌うとき、去年から皆で手を繋ぐことにしました。私の知る限り日本では須磨学園だけです。その心は、君たちには、ともに学んだ仲間がいるということを確認し、記憶に残しておきたいということなのです。一人ひとりが集まって、一つになり、これからも、この思い出を共有してゆくのだということなのです。
 理事長を始めとして、我々は、これからもずっとずっとずっと君たちの味方だということを、忘れないでいてほしいと思います。困ったことがあったら、須磨学園で学んだことを、卒業アルバムを開いて思い出してみてください。いつでもSOSのメールしてください。この丘の上に人生相談に帰ってきて下さい。我々教員はいつ、なんどき、なにごとでも皆さんの味方です。お金には限りがあるけど、知恵はいくらでも出せますし、貸せます。 だから、今日は「さよなら」の日ではなく、「いってらっしゃい」の日なのです。

 最後にもう一度、私は、皆さんが3年間無事で、今日、ここに卒業式を迎えることができたことを心から感謝いたします。皆さん、ありがとう。そして、皆さん、おめでとう。 我々、須磨学園の役員と教員と職員は、皆さん一人一人の人生における健闘を願い、皆さん一人一人の夢の自己実現を祈っています。

 元気で、いってらっしゃい!



2011年3月5日 学園長 西 和彦