理事長挨拶


  須磨学園創立記念コンサートに際し、最初にご挨拶申し上げます。今から、88年前、大正11年11月9日に須磨学園は創設されました。今年、88年目を迎えます。この長きにわたり諸先輩方が積み重ねてこられた教育の営みの上に、現在の須磨学園があります。現在に至るまで、学園に関わり、学園で教え、学園で学び、学園を育て、学園を見守り、学園と共に歩んで下さった方々に深く感謝を申し上げます。

 また、本日創立88周年の記念コンサートにご臨席を賜りました、ご来賓の皆様、保護者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

 休みの日に学校に来ると感じることですが、生徒、先生のいない学校は、ただの冷たいコンクリートの塊です。私は学校というのは「器」だと考えています。「枠組み」と言い換えてもいいかもしれません。ですから、学校の価値は、その枠組みの中にいる「人」がすべてであります。
 この88年の時の中で、世界が激動の変化を遂げる中で、日本も例外ではなく、多くの人たちやものを失い、しかしまた、多くの人たちが生まれ育ち、多くのものが新しく創られました。そうした時代の変化の中で、須磨学園の枠組みも大きく変わりました。 しかし、その変化の過程の中で、失われずに残り続けているものがあります。旧いものを守ろうとする働きによってではなく、その本質的な価値によって生き続けているものがあります。
 私は、それは、本校の教員から教員へ受け継がれている生徒に向かう教育への情熱であり、そして、「清く、正しく、たくましく」時代を生き抜く人を育成する本校の建学の精神であり、あるいはまた、ひたむきに努力を積み重ね、様々な実践をしてこられた生徒ならびに卒業生の皆さんひとりひとりの「精神」であると確信しております。

 この精神と営みがこれからも生き続けていくことを祈念して私の話を終わらせていただきます。




2010年11月8日 理事長 西 泰子