学園長 訓話



 三日・四日くらい前に、ものすごく大きな風が吹いて、僕はそれを見て思ったんです。入学式のための桜はこの風でみんな散るなと。非常に大きな風が吹いた。電車の車掌さんが、帽子を飛ばされたことが朝あってね。ところがね、桜は散らなかったんですよ。桜は今日も咲いています。どういうことかと言ったら、桜はこの3日くらい前咲き始めたところだったんです。咲き始めの桜ほど強いものはないということじゃないですか。大変なことがあっても、桜に強い風が吹いても、桜の花びらは散らない。私は、それを見てね、桜はすごいなと思ったのと同時にね、桜を人間に置き換えてみたらですね、これから咲く桜、これから大人になる諸君らの持っている可能性というか隠れた力というのはものすごく大きいものがあるんじゃないかなと思うんです。つまり、少しばかりの苦しいことに人間は出会ったとしても、それを乗り越える力があるのではないか、そういう力をみんな持っているのではないかなと思うからですね。

 苦しい目にあった時、苦しいことに出会った時に、どういうふうにしたら苦しさを乗り越えることができるのかという苦しさの克服の方法を考えたんです。K3とV2の諸君らは受験まであと1年しかない。1年もない。苦しくなってきているはずなんです。おそらく、全校生が一つに集まって話ができるのは、当分先まで、今日しかないと思ったりもします。なぜならば暑いし、秋になると風邪が流行するしね。それで苦しいことの乗り切り方を考えたわけなんですね。まず、不景気って今言われていると、お金がないという苦しさをどう乗り切るのか。一番いいと言われているのが、お金がないというふうに思わないことだと言われている。つまり、お金がないって言うか、ないと思わないで、今の状態が当たり前だと思う。お金がないことを当たり前だと思う。苦しくてもそれが当たり前だと思う。それで乗り切れるんじゃないかというのがある。
 それから、何か悲しいことがある。何か苦しいことがある。その悲しいこととか、苦しいことの本質はなにかということを追求をしていく。苦しさについて原稿用紙一枚考えて書いてみる。一回くらいだったら、苦しさとはどういうものかということが分かる。だんだんだんだん深く考えていくと、深く考えた時に苦しさの本質というのは、苦しさではなかったと思う時が来るっていう、そういう人が哲学者にいるんだけどね。究極の苦しさと、究極の楽しさと、究極のことはすべて同じことであると考えてみたんですけど。でも、私が到達した結論はなにかというと、苦しみに出会った時にその苦しみに出会ったということが、実はどういう意味があるのか、その苦しみをチャンスと思ってそれを乗り越える、チャレンジをするっていうことが目の前の苦しさを乗り切れる唯一の方法ではないというふうに思うようになりました。
 つまりどういうことかというと、何か苦しいことが目の前に出てくる。何か困ったことが目の前に出てくる。それを乗り切るにはそれと対決をしてそれに勝たなければならないということです。そこで対決するきっかけになるのは何か。それは、その苦しみを与えられたというのは、自分にとってどういう意味かということです。目の前に起きていることが自分にとってどういう意味なのか、そしてそれを乗り切るために何をしなければいけないのかということを考えると答えは一つしかありません。答えは、自分が変わるということです。だから、この4月からのこの1年勇気を持って、自分から変わる。自分を変えるということを大きなテーマにして取り組んでほしい。
 目の前の困難、目の前の苦しみ、目の前のイライラ、そういったことを乗り切る方法は、自分が変わるというだと思います。それを今日は諸君らに言いたい。自分が変わるという、変わる手段としてタイムマネジメントとプロジェクトマネジメントを是非、活用してほしいと思うわけです。

2010年4月5日 学園長 西 和彦