誓いの言葉


 春の訪れのにおいに心地よい緊張を覚えながら、私たち81名は義務教育課程を修了します。
 3年前の4月、小さかった私たちは慣れない学校や勉強、新しい友達や先生にとまどいと期待を感じながら入学の日を迎えました。それから3年間、毎日の学校生活や行事の中でその時自分たちができることを一生懸命こなしてきました。それぞれの場所で多種多様な経験を重ね、そのたびにまた新しい発見をすることができました。色々な物を見て驚き、感動し、時にははしゃぎすぎて怒られ、しかしそれらも私たちがここまで成長するために欠かせないものであったと思います。
 中でもこの須磨学園の特色の一つである世界一周旅行は、私にたくさんのことを気づかせてくれました。他国の文化に触れることで自分自身の価値観が変わり、また日本について改めて考えるようになりました。現地の人々とコミュニケーションを取ることで、現状に満足するのではなく、もっともっと英語を使えるようになりたいと向上心を持つきっかけになりました。
 そして、当たり前すぎて日本にいては気付けなかった、私たちを陰で支えてくれている多くの人の存在にも気づくことができました。 両親はいつも自分のことよりも私の心配をしてくれ、助けてくれています。そんな両親に、自覚はなくてもずっと頼ってきました。離れて生活する中で両親に対する感謝の気持ちを深く感じました。
また、海外研修旅行には、もちろん楽しみもありましたが、長期に渡るため、やはり不安もありました。しかし先生方が私たちを守ろうとしてくれたのをひしひしと感じました。先生方のおかげで全員無事に日本に帰ってこられたのだと思います。
 このように、他の学校ではできない貴重な体験をし、多くのことを学ぶことができたのは、理事長先生、学園長先生のおかげです。とても感謝しています。これからもご迷惑をかけることも多々あるとは思いますが、感謝の気持ちをいつも忘れずにいたいと思います。また、支えられるだけでなく、いつかは恩返しができるようになりたいです。
 そしていつも一緒に笑ったり泣いたりした友達にも感謝しています。学年が上がるたびに、漠然と思い描いていた「将来」というものへ次第に近づいて行っていることを感じました。その中で、友達と将来について話したり、悩みを相談したりする機会も増えてきました。そして自分の反省点を見つめ直し、同じ学年の仲間とともにさらなる努力を重ねてきました。迷ったり落ち込んだりもしましたが、一人じゃなかったからこそ、仲間がいたからこそ、先を見据え、なりたい自分を持つことができるようになっていきました。入学当初には実感の湧かなかったto be myselfという言葉の意味の大切さが分かり、自分にとって身近なものとなっていました。
 これからの3年間は、今までの3年間と同じ時間、同じ学校、同じ仲間でも、その内容は大きく変わります。これからは将来を見据えて、足りない部分を補う自発的な勉強が始まります。私たちが抱く夢の大きさはそれぞれ違いますが、「なりたい自分」になり、また社会に貢献でき、人を助けられる人間となるために、一歩を踏み出していくという姿勢は全員に共通のものです。その一歩を踏み進めていくには辛くて大変なこともたくさんあると思います。しかし私は目標を持って進んでいくときに、くじけずに頑張ろうとは思いません。くじけてもいいから、回り道をしながらでもいいから、自分の力で前に進んで行くことが大事なのだと思っています。そうすれば夢が叶い、それまでの自分を振り返った時に、努力をしてきた自分に誇りを持ってさらに先へと進むことができます。そしてその思い出す自分の中にこれからの須磨学園での3年間がきっと含まれていることと思います。

 今、私たちの須磨学園で過ごす学校生活の半分が終わりを迎えました。長いと思っていた6年間もあと3年だけです。3年後には一緒に過ごしてきた友達や、毎日通ってきた学校と別れることになります。その時に悔いを残さないために、たくさんのことを学び経験してきたと胸を張って言えるように、そして大人になっても須磨学園で過ごせて本当に良かったと心から思えるように、これからの3年間も全力で取り組んでいきたいと思います。

 失敗を恐れず、この81名と共に高めあい、支え合いながらしっかりと前を向いて進んでいくことを心に決め、これを誓いの言葉とさせていただきます。



2010年3月19日 卒業生代表 原 千明