学園長 式辞


 
 卒業生の皆さん、 保護者、御家族の皆様、 須磨学園高等学校ご卒業おめでとうございます。

 皆さんが中学に入学してから6年、高校に入学して3年、勉学を果たし、今日、ここに無事に卒業式を迎えることができたことを、学校法人須磨学園の役員、教職員全員で喜びたいと思います。

 今日は、この6年間、3年間に、折に触れ皆さんにお話してきたことの中から、改めて大切だと考えることを取り上げて私の話にさせて頂きます。

 今日の入場の音楽は何でしょう?みなさん、覚えておられますか? アントニオ・ビバルディの四季から冬であります。 卒業式が終わると、須磨学園に春が、やってきます。 今日のお昼からは春になります。 今日の朝の風は、春一番だったような気がします。 冬がずっと続かないということを、我々は経験で知っています。 もうすぐ春です。

 元気が一番であります。 「元気」とはエネルギーたっぷりの状態を言いますが、「元」の「気」と書きます。元々、人はエネルギーに満ちた存在です。だから、我々は、普段から心の持ち方が問われています。

 そこで最初に申し上げたいことは、「夢を持つなら、どうか大きな夢を」持って下さい。そして毎日、毎日、目標の修正をしてほしいのです。

 船は目的地に向かって進めばいいのですが、風や潮によって流されます。 そんなときにどうしたらいいのか。 それは、目標に向かって進むべき方向の修正をいつも続けるということです。 なりたい自分になるために、自分という「本船」をどのように舵取りしていくか、 それがとても重要なことだと思います。

 思い返してみると、私の54年間の人生のうち、タイムマネジメントして過ごして20年を超えました。自分が夢見た人生の目標は、いつも自分の夢よりも大きな形で実現して来ています。大きなピンチの後には、いつも必ず大きな飛躍や展開がありました。 人の人生の限界は、その人の持つ夢の限界そのものであって、 その人の夢を超えることはないと思います。 出来ると信じるから実現するのであって、 出来ないとおもっていると何も出来ません。 だから皆さん、夢を持つならなるべく大きい夢を持ってください。 そして、それを毎日、自信を持って思い切って大きく拡大修正していってください。

 日付を入れると夢は目標になります。 皆さん、夢を持ったあとにしなければならないことがあります。 それは夢に日付を入れることです。 いついつまでに、この夢を実現したいと自分の中で密かに決める決心のことです。 「日付の入った夢」のことを「人生の目標」と呼びます。 この目標を、一つ一つの小さな具体的な行動として、書き出し、それを日々実行してゆくことを、皆さんは在学中にタイムマネジメントとプロジェクトマネジメントで学びました。この学んだことを、これからも続けていって欲しいというのが、私のお願いです。

 「信念を持つ」ということが大きな力になります。 この言葉は、失敗を恐れないでいろいろやってみる。そのときに一番大切なことは、自分を信じるということです。信念とは、念を信じると書きます。念という字は、今の心と書きます。つまり、自分の今の心が思っていることを信じきることが、信念を持つということです。 例えば、全国大会に出場できた男子駅伝。必ず出るのだと思っていると、やっと出場できるようになりました。自分を信じることが出来れば出来るほど、大きな力が出てきます。どうか皆さん、信念を持って、夢の実現に、失敗を恐れず進んでいって下さい。

 英語の言葉に "Blessing in disguise"という 辞書に載っている言葉があります。これはどう訳すのか。直訳すると、「形を変えた:in disguise」「神様の祝福:blessing」ということになりますが、「一瞬、悪く見えても、後になってみれば、良かったといえること」です。

   私は今までの人生で、 東大に落ちて、浪人し、大学を中退し、会社の社長を辞めました。 これらのことがあっても、今それでよかったのだと思うようになりました。 浪人時代に読書を始め、この読書が20代の仕事のベースになりました。 ずっと勉強を続けることができたので中学、高校だけでなく大学でも仕事を続ける事ができました。 大学と高校と中学の仕事に出会え、今ここで、皆さん方にお話をする事が出来ています。

 諸君たちより36年、年上だから自信をもっていえることがあります。それは、 「失敗に見えることも、何もかも含めて、人生に起こることで要らないものは何もない」。 うまくいかなかったことは、そうすると、こうなるという貴重な実験だったということができると思います。

 先を読む力が、先見性でありますが、それに実行力を加えると創造性というものになります。 是非、未来へのビジョンを捜し求めて、自分で作り、未来を作っていってください。 若いときは、色々なことを乗り越え、成し遂げることの出来るエネルギーに満ち溢れています。 どうか皆さん、 人生のあらゆる科目にチャレンジをして、 21世紀の日本、世界において、なりたい自分になってください。

 今日、蛍の光を歌うとき、今年から、皆で手を繋ぐことにしました。私の知る限り日本では須磨学園だけです。その心は、君たちには、ともに学んだ仲間がいるということと、理事長を始めとして、我々は、これからもずっと君たちの味方だということを、忘れないでいてほしいということなのです。
 困ったことがあったら、須磨学園で学んだことを、卒業アルバムを開いて思い出してみてください。いつでもメールしてください。この丘の上に相談に帰ってきて下さい。 我々はいつでも皆さんの味方です。 だから、今日は「さよなら」の日ではなく、「いってらっしゃい」の日です。

 最後にもう一度、私は、3年間無事で、今日、ここに卒業式を迎えることができたことを心から感謝いたします。 皆さん、ありがとう。そして、皆さん、おめでとう。 須磨学園の役員と教員と職員は、 皆さん一人一人のこれからの人生における健闘を願い、 皆さん一人一人の自己実現を祈っています。

 元気で、いってらっしゃい!



2010年2月28日 学園長 西 和彦